[書評]子ども達の性の悩みを、学校は受け止められるのか?保健室の社会学「エッチのまわりにあるもの」
スポンサーリンク
先日紹介した、おすすめの本
の編者さんによる「保健室の社会学」。
本校と同じく、教育が困難と思われる学校は問題が見えやすいんだろうなー。
さて、養護教諭(保健室の先生)の著者に生徒がいろいろと話しかけてきます。
でも、核心をついたような話をすぐにするわけではないので、投げかけに丁寧に手紙を書いて渡したり、時には自習時間をもらってゲリラ授業をしたりします。
アマゾンの紹介より
なやみおおき高校生。
そのなかでも、恋愛はおおきなウェイトをしめます。
「避妊はしっているけれど、妊娠してみたい。そしたら、それが運命の人!?」
「好きになったのは同性だった…」
「これって、熱烈恋愛? それともDV?」
保健室には、いつもいろんな相談がひしめきあいます。保健の先生は、はたして生徒たちとどんな解決方法をみつけていくのか。読者にむけて社会学的な解説も
ついています(LL(やさしく よめる)ページつき)。
当事者の間での「誰が悪い」という犯人探しではなく、学校制度、社会の問題として、社会学の視点もたくさんお持ちなので読んでいて色々と考えさせられます。
私も似たような生徒と関わっています。
「なかなか親から手をかけてもらえず、さみしさでいっぱい。早く自分の家庭を作りたくてどんどん恋愛する。恋愛が主導権争いになって、その争い方が自分の親に似ていてぞっとする。こんなはずじゃなかったと、次は自分の子どもに期待する・・・」
恋愛や子どもに期待せず、自分で自分の道を切り開いて欲しい、ということばに共感。
生徒が直面している性の問題は?
数々の問題について改めて考えさせられるいい機会になりました。
例えば、
- 同性愛・・・生徒が「自分は同性愛だ」と自覚していないことがある。学校側も「病気」扱いをする。
- ニューカマーの女の子たち。男の子に比べて学歴をつけることを期待されていない。兄弟の面倒を見るために学校を去っていく女の子を賛美する男性教師。
- デートDVの蔓延。加害者の立場で話を聞いてしまうと話したほうが責められる構図になってしまわないか?暴力の中で育った生徒が自分のことと切り離して授業の感想を書いてきた・・・
- 性被害。「レイプ」の話を聞くのを避けようとする同僚がいる。セクハラも同様。
- 家族から性暴力を受け、家庭すら居場所にならない子ども達がいる。
- 男の子も性被害にあうことも多いが、相談できる窓口もなく、電話相談ではいたずらと言われてしまう。事例研究会ですらベテランの教育相談員に「気持ち悪い」と討論すらさせてもらえなかった。
- 援助交際をする生徒達。いい、悪いではなくどうして起こるのだろう?という視点で考えてみたい。「援助交際は魂に悪い」本当にそうだろうか?なぜ、限定した高校生と言う期間だけ価値があるのか。高校生の性はタブーとなっている、高校生に特殊な意味を持たせてしまう学校文化、日本社会に問題はないのか?
学校側の対応がどうなの???と思う内容も多く、まだ生徒の人権に配慮できている学校は少ない(というより性について知識が乏しい)んですね。
差別は、知識がなくて無自覚だから行われるそうです。
知識として身につけておけば、「そこに差別がある」と自覚できます。
できれば性の問題は見たくもないし聞きたくもない、見ないでなかったことにしてしまいたいと思うことは多いです。
それでも、同じような考えを持ち、一人でも多く生徒と向き合おうという先生がいるのは心強いです!!!
感想メールしてみたらすぐお返事いただきました!
専門的な解説と、生徒が読みやすい「LLページつき」です。
今年の授業で紹介してみる予定!!!
もう、学校には入れてもらえるように手配しました。
ぜひ手にとって読んでみてください。
ではまた☆