まなびと!

自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[書評]2時間勉強してもスマホ時間が3時間なら無効化!?「スマホが学力を破壊する」

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「子どもがスマホを手放せない。高校生でも預かろうとすると暴れだす」

「子どもが半日スマホを使っているように見える。大丈夫だろうか?」

私の勤務している学校でも、スマホ中毒なのでは?と思うような子どもたちが多いです。

歩きスマホ

授業中のスマホ

休み時間もスマホ

いつでもスマホ稼働中です。

充電器は必須アイテム。

教室の電源も充電されているときがよくあります。

授業で、「大切なものを9個書く」と言う課題を出したところ、多くの生徒がスマホをあげていました。

物理的な価値よりも、「画像や思い出がたくさん詰まっているから」という声を聞き驚きました。

なるほど~でした。

で、「スマホが学力を破壊する」。

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東北大学で、脳トレを提唱した川島隆太先生が行った調査から見えてきたことを紹介しています。

ざっと読んでみて、気になった部分を記しておきます。

スマホが学力を破壊する、どんな調査を行ったの?

仙台市内の中学校に通う生徒、約2万2000人のデータを解析しました。

生徒の学力検査の点数と、普段から携帯電話やスマートフォンを平日にどれぐらい使っているかをアンケート調査。

全く使用しない群から4時間以上使う群の6群に分けて平均点を計算したそうです。

自宅学習時間が長いほど成績が良いということがわかりました。

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しかし、調査の結果わかったのは、自宅で勉強を「してもしなくても」「携帯やスマホを使う時間が長い生徒たちの成績が悪い」ということです。

スマホが脳を破壊する?勉強しているのにスマホ時間分記憶がなくなる?

勉強時間よりも長くスマートフォンを使ってしまうと、せっかく行った勉強時間が無駄になり成績が悪くなってしまうというのです。

また家では勉強せず、学校で勉強するだけの生徒はスマートフォンを触らなければ数学において62点の平均点を取れています。

しかし、家でスマホを1時間以上使うと使った時間の長さに応じて成績が低下してしまいます。

4時間以上使うと、平均15点も低くなってしまいます。

また、全ての学習時間とスマホ利用時間を足すとありえない時間になってしまうことがあります。

学習中にスマートフォンを使いながら勉強していることも見えてきます。

家庭学習中にスマホを使うマルチタスクを行うと、家庭での学習が成立しなくなってしまうそうです。

使用アプリの数が多いほど成績が下がっていることもわかりました。

スマートフォンは机の上に置いてあるだけでも集中力を削がれ、成績が下がることも分かっています。

スマホが学力を破壊する!脳の前頭前野の活動が抑制され、発達が遅れる!

最近では、近赤外分光装置を利用して、大脳の前頭前野の活動ができているか計測をすることができるようになっています。

前頭前野が発達していることが「人の脳の最大の特徴」であり、前頭前野には人間ならではの心の働きが関係しています。

衝撃的な事実として、ITを使うと前頭前野は働かないことがわかりました。

対人コミュニケーションの場面で実際に誰かの顔を見て話をすると前頭前野は働きますが、同じ人と電話で会話をすると全くと言っていいほど働かないことが分かります。

テレビ会議のシステムを使っても前頭前野は働いていません。

囲碁や将棋ですら、コンピュータ相手に打っても全く働かないのです。

文章を書くときも、手書きで手紙を書くと前頭前野はたくさん働くのに、パソコンや携帯電話で打ち込んでも前頭前野はまったく働きません。

ゲームやテレビは長時間の使用で学力が低下するばかりではなく、健常児の言語知能の発達に悪影響を及ぼします。

さらに悪いことには、新しいゲームを始めた時には前頭前野が大いに活動します。

しかしゲームに慣れた時に、前頭前野が安静時よりも活動量が少なくなる「抑制現象」が生じたのです。

どのようなゲームでも、前頭前野に強い抑制がかかってしまいます。

前頭前野を使わなくてはいけない課題をしていたにも関わらず、ゲームををやめた後30分経っても前頭前野がきちんと機能していませんでした。

ゲーム、テレビ、スマホの共通点として前頭前野に抑制がかかることがわかりました 。

子育てにスマホ、どうしたらいいんだろう?

スマートフォンを使うことで睡眠時間が短くなることも指摘されています。

日本の日本人の睡眠時間は元々世界的に短いと言われています。

スマートフォン利用で睡眠時間がさらに短くなっているというわけです。

教育の世界では、睡眠時間が短いほど学力が低いことが常識となっています 。

親が子どもを静かにさせるためにスマホの動画を見せることも多いことから、

スマホに育児、子守をさせないで」

というキャッチフレーズも出てきたほどです。

夫の育児の手助けが得られない、いわゆる「ワンオペ育児」では母親の育児の手が足りずスマートフォンや映像作品などで子守りをさせるのはよくあることです。

今、母親からスマートフォンを取り上げたとしたら、反対運動が起きてしまうかもしれません。

まとめ

私も子どもがいるので、このテーマはかなり気になります。

中学生と小学生の子供がいますが、映像サービスでは Amazon プライムビデオやネットフリックスにお世話になっています。

調べものや学習にタブレットを利用させるつもりが、タブレットにゲームを入れてくれと頼まれて入れることもしょっちゅうです。

なるべくスマートフォン利用を減らすよう伝えていますが…。

こんなことなら、タブレットスマートフォン動画サービスを契約しない方が良かったのではないかと思ってしまいました。

学習障害など書字が苦手な生徒には、 IT ツールの是非使わせたいと思っていました。

このような結果が広まってくると、子供達へのITツールの利用はどうするのか議論がまた出てくるでしょう。

私が普段付き合っている高校生は、偏差値が40前後で勉強が苦手な生徒が多いです。

そのような生徒たちはスマホ依存が本当に激しく、一日6時間や8時間ぐらい触っていることも普通。

今回の調査で、「低学力層がやることがなくスマートフォンを触ってしまう」という文章がありましたがまさにその通りです。

スマートフォンへの依存が激しく、授業中に使っていて注意してもやめないというような状態もあるほどです。

時間割引率が高く、けじめがつけられないんですよね…。

偏差値が50以上の高校に見学に行くと、机の上にスマートフォンを出していたとしても全く使わず本当に必要な時だけ調べもののために使っていました。

自制心が働いていることにとても驚きました。

勤め先の生徒は Instagram や、オンラインで友達と遊べるゲーム、Twitter、LINEなどを常時開いています。

何か調べものに使うという時も、なかなか調べるための単語が思い浮かばないような状態もあるようでした。

勤め先のような学校では、スマートフォンを学習のため有効に利用するというのは難しいかもしれません。

スマホが学力を破壊する」の文中には、スマートフォン依存とインターネット依存のチェックリストがあり、依存度がわかります。

当てはまった場合、速やかに治療してもらった方がいいのかもしれませんね…。

自分もネット好きな方なので気をつけます。

こんな記事も見つけました。

デジタルデヴァイスは、「何に使うか」が重要。

これも確かに…ですね。

wired.jp

ではまた☆