まなびと!

自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[書評]授業中に生徒の積極的な活動、協同、教育を促す!「アクティブラーニング入門」

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Amazonから、「あなたへのオススメ」に表示された本。

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しかし、評価が一つもないのが気になる。本を購入するのに、失敗するリスクをおかしたくない人です(本くらいでそんな…!)。

数打ちゃあたる、なんでしょうけど。しかも、教育書は図書館にないのよおぉぉぉー!!

結局、Facebookつながりの先生がオススメしていたのでがっつりポチしちゃいました。

最近、仕事にも本当にFacebook役立ってますよ。

著者は、元埼玉の県立高校の物理の先生。

定年の6年前からアクティブラーニングを始めたということです。なんてアグレッシブなんでしょう!

もう40歳だしとか思った人が負けですね。

再任用は不自由とのことで、河合塾の研究員を経て現在は産能大の教授をされています。

アクティブラーニングを始めた頃は、まだ知られていない授業の手法でした。

現在文科省がアクティブラーニングを文言に使っているので、今では講演に、体験授業にと、引っ張りだこだそうです。

なるほど!メモ

アクティブラーニング型授業の概要

小林先生のアクティブラーニングの実践を一例として紹介しています。

勤務校は65分授業のため、

  • 学習内容の説明 15分
  • 問題演習 35分
  • 確認テスト、総合採点と振り返り(リフレクション・カードの記入) 15分

の流れを一年間続ける。

講義はパワーポイントのみ。内容をプリントにして配布、板書ゼロに。

「今まで、板書を写すので精一杯で授業の内容を聞けなかった時があったので助かります」という生徒のフィードバックがあった。

リモコンで机の間を回りながら次の画面へ進めます。

演習では、生徒同士で協力しながら問題の理解を目指します。

アクティブラーニング型授業は、キャリア教育の機能も持つ

多くの場合、キャリア教育は、「総合的な学習の時間」や、LHRや学校行事で行われています。

キャリア教育では、「積極的な活動、協同、教育」を求めているのに、教科科目の授業では「動くな・しゃべるな・手伝うな」と矛盾したメッセージを伝えがちという側面もアクティブラーニングでは解消できます。

更に「キャリア教育」など「○○教育」を教科の授業外で行うと、担当教師の負担は更に増大し、その増大した労力分を授業準備から割くことにより授業の質が低下するという矛盾もありそうです。

態度目標と内容目標の設定

授業のはじめに態度目標と内容目標を示し、このような態度で授業に望むように生徒に伝える。

態度目標は、「しゃべる・質問する・説明する・動く・チームで協力する・チームに貢献する」

このうち動く、は教室内を立ち歩いて質問したり、説明したりすることを意味しています。

黙っている、じっとしているは悪い授業態度だからね、と説明するそうです。

内容目標は「教える内容」を提示していますが、「態度目標」が示しているのは、「学び方」の目標です。

前者は教師の目標で後者は生徒の目標です。「態度目標=学び方の目標」を提示した効果は絶大だったそうです。

説明で気をつけていること

評価しないで生徒の発言を促進する。

すぐ教師が評価せず、「A君はこう言ってるけど、B君はどう思う?」など。聞いていない生徒、おしゃべりは注意しない。

注意の大きな声を出せば安全安心の場は損なわれ、生徒の学習意欲は低下する。

質問で介入する。「なにか気になることがありますか?」「このまま私の説明を続けてもいいですか?」

選択させる。 それでも雑談が続く時。1年に1度は次の介入をしました。

「やめられない話があるようですね。授業後に話すことにして、今は授業に集中できますか?授業どころでないなら、相談室に行くか、廊下に出て話してきても良いですよ。」

効果的だが、学校のグランドルールの兼ね合いや生徒の状況、生徒と担当教師との関係性などによって使い方は変動するでしょう。

これらの授業方法により、教科書は年度途中で終了し、生徒の成績は上がり、物理の授業選択者を増やし、放課後も有志による勉強会が発足したとのことです。

演習問題は、教科書会社が出している問題データをそのまま利用していたそうです。

まとめ

「このスタイルは、生徒から常にフィードバックしてもらい作り上げた」とありました。

「生徒の居眠りをなんとかしたい。」居眠りという言葉が本に何度も出てきました。先生自身、授業にかなり悩みがあったのだろうということがよく分かりました。

しかも、多くの生徒が苦手とする物理!ご苦労が偲ばれます。

この方法なら、いまの授業を全て変えなくても取り入れられるような気がしてきました。

講義と演習の時間の割合を変えれば生徒が頭を使う時間が増えますね。

最後に、「実践者に必要な態度は、“一般解を求めない”こと。私たちに必要なのは、『目の前の生徒たちを大切にして』、彼らに役立つ授業を創り出し、実践すること。その導きの糸は『生徒たちの声』です。」と結ばれていました。

研修では、今までこのような形で授業を受けたことのない先生のために模擬授業を行っているとのこと。

「仕事場にも是非呼びたい!」と声をあげてみました。

しかし、今のところ諸々の理由によりアクティブラーニング関係は情報の周知はしても研修はしない予定だと研修担当の先生より。

まずは形から入る、でも放課後生徒が残って自主勉強を始めたり、自分で答えを見つける喜びがあるならいいんじゃないか?と思うんですけどねぇ〜。

「生徒が授業の主役になるならどんなアプローチでもいいんじゃないか」というのはダメなのかしらん。

ではまた☆