[書評]この春必読の一冊!学習者中心の授業ができているか?「まんがで知る未来の学び」
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熊本大学教職大学院の先生である前田康弘さんによる「まんがで知るシリーズ」の4作目です。
今回は教師だけでなく、「未来への学び」への模索。
本の帯にはこのように書かれています。
働き方も生き方も新たな局面を迎えたいま、学校と社会に必要なのはコミュニティーとしてのアップデートー受験と部活動に明け暮れる中学校と、時代に取り残される地域社会が向かうべき方向とは。
読者の幅を広げるために学校関係者以外の方にも、未来の学びはどうなるのかということを知っていただきたいとまえがきにもありました。
みんなで「これからの教育」について考えていくためのきっかけになるでしょう。
中学校教師の「働き方の悩み」から始まる!
今回の舞台は、前作の小学校から中学校に移っています。
女性の先生が、未経験の運動部を担当していてなかなか早く帰れず仕事も終わらず、帰宅が10時頃になり悩む場面から始まります。
もう一人の男性顧問は、妻のSOSメールに気がつかず帰宅が遅くなり、妻から
「いつ、自分の子どもを見るようになるのか」
と責められてしまいます。
他人事じゃないよね…。
「授業者中心」から「学習者中心」の学びに変えていくためにできること
今回の作品では、学校や地域に様々な学習者が登場します。
中学の先生方、教職大学院の学生さん、街づくりのために奔走する地元の商店街の店主や、地域の学びカフェに集まる3人の高齢者、中学2年生の子どもたちです。
それぞれが自らの学習スタイルに沿って学習している姿が描かれています。
教職大学院の生徒さんが学びカフェで高齢者の方にタブレットの利用法を教える場面が印象的でした。
大学の先生からのアドバイスは、
教える側の視点で立つのではなく、学習する側の視点に立つこと。
そのためのアドバイスが5つ用意されていました。
教える側は、教える内容のコンテンツに目が向いてしまいがちです。
しかし、学習する側がどのよう何ができるようになるのかという意識を持ちながら教えることが大切だということを改めて感じました。
今回の主人公である美術の先生は、授業を教えていく中で学習指導要領を読み込み、
「自分の授業は作品作り自体が学習の中心になっていて、作品をうまく作れない子供にとって面白くない授業だったのではないか」
と実践を振り返ります。
たまたまこののタイミングで学校の生徒全てにタブレットが配られたことも良いきっかけとなり
「学習者中心の授業ができないか」
と、先生自身もアップデートしていきます。
大学の先生からの、学生へのアドバイスを参考に学習者中心の授業を作り、意欲のない生徒も巻き込んで学習者中心の授業を作り上げていました。
まとめ
県の中心部から離れた、過疎化が進み衰退していってしまう状態をどうすれば活性化できるかという、子どもや教師のみならず、地域や大人への学びにも繋がるようなアプローチがされています。
ラストは解決するかと思いきや、続きがあるのかな…?
と思うような場面で終わっています。
答えのない時代に模索していかなければならないのは大人も同じなんだよね。
前田先生から、Facebookにて以下のようなコメントをいただきました。
特に今回の本では、第8章がまるごと問題提起です。
p150 竜南先生の「そ・・・そうか・・・」の意味は?
p153 なぜ、若い奈毛君は商店街の行く末を心配するのか?
p157 「勝手なマネを」とつぶやく古井さんはなぜそう考えるのか?
p160 音無さんが言う「本当の価値」とは?
p162 町を出なくてはならないという現実にどう向き合うか?
p166 維持することも取り壊すこともできない古い施設をどうするべきか?
この第8章には、私の様々な思いをこめました。
それぞれの立場の人々が、それぞれの価値観で問題意識を持ち始めるということ。この本を書くために取材してみて自分自身が問題意識を持ったことを凝縮したものなのかもしれません。
まんがで紹介されていた「大人の学び場」をすでに実施されています。
今回もコラボして未来の社会を考えるビジネス書が何冊か紹介されており、何冊か図書館で予約しました。
私もおすすめの本も紹介されていて嬉しくなりましたね♪
今作での伏線はどのように回収されていくのか、次作の展開が楽しみです。
この春の「読んでおきたい一冊」に加えてみてはいかがでしょうか?
「まんがで知る教師の学び」シリーズのご紹介はこちら!
ではまた☆