まなびと!

自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[学校見学]「協同的な学びで学校を変えた」高校へ!授業改革と生徒指導は改革の両輪。

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今年は、新しい教育課程を作る委員のメンバーになっています。

その一環として、

「協同的な学びで学校を変えた」

という触れ込みのS高校へ出張してきました。

午前中、3時間の授業見学と、1時間の懇談というなんとも贅沢なスケジュール!

お付き合い下さった先生方に感謝です。

カリキュラムはなんとも普通

新カリキュラム研究のためもあり、教育課程表を拝見したところ、1.2年生までは全て必修。

3年生で選択が3科目あり理系文系、進学クラスは設定しないという教育課程表でした。

一学年5クラス、一学年の時は手厚く6クラス展開をしています。

英語や数学の授業は少人数授業を行っています。

総合的な学習の時間については、週に1時間ほど担任が進路の時間として活用しているそうです。

自分の気持ちを表現する、書かせるという指導を重んじているということでした。

見学した授業は、グループやペア学習が保障されていた

3時間ほど授業を見学しました。

3年生の日本史、2年生の英語、1年生は現代社会。

それぞれペアワークやグループ学習の時間が設定されていて、寝ている生徒は1人もいませんでした。

一クラスが30人前半のため、教室もゆったりしており、生徒1人1人に目が行き届くようになっています。

3年生の日本史では、4人班はそれぞれ室町時代の疑問点を取り上げ、それに対して違う班が答えをホワイトボードに書いていきまとめるという授業でした。

2年生の英語では、教科書の文章をスラッシュで区切り、ペアでシャープペンシルを渡し合いながらのゲーム要素もありつつ音読を進めていきます。

最後は歩き回りながらペアで暗唱できた部分にサインを貰い、4人サインを貰ったら椅子に座ってよし。

座った人はジャンケンで必ず負けて暗唱を聞く係をするというワークで終わりました。

1年生の現代社では、死刑制度について賛成か反対かという議論をまたもやホワイトボードで記録し、4人組で発表するというワークをしていました。

勤務先と同じ偏差値帯のはずなのに、生徒が予想よりははるかに落ち着いていました。

5年前は荒れていた!徹底した生徒指導で生徒が落ち着く

先生方との懇談では、S高校に5年いらっしゃる1年生の学年主任の先生とお話できました。

この学校にベテランが異動希望を出すことは皆無に等しく、基本的には新採用の先生が毎年何人も入ってくるのだそうです。

数年前は学校全体が荒れており、お化粧を授業中にする生徒、廊下で生徒のうろつき、教室での殴り合いの喧嘩もあったとか。

しかし、校門前に教員が立ち朝と帰りに化粧を落とさせたり、スカートの丈を戻させる指導を始め、当たり前の学校生活ができるよう徹底的に取り組みました。

携帯の授業中の使用は1週間預かり、その他の違反物は年度末まで預かるものもあります。

継続した指導が功を奏し、2,3年ほど前からはだいぶ落ち着いて、教員も生徒も授業に集中できるようになったそうです。

授業研究から学校改革が始まったとはいえ、生徒が学習するためには落ち着いた環境が必要。

「生徒指導なしの授業改革はあり得ない」

ということでした。

風紀的に見て、高卒で就職する場合に推薦できなさそうな生徒は見当たりません。

私の勤務先は違反物のペナルティーがないこともあり、授業中もスマホをいじり、化粧し放題、机の上に飲み物が置かれているような状態。

是非真似できるところがあればしたいとも思いますが、厳しい指導に反対する先生も一定おり、難しいかもしれません…。

正直、教員が学習性無気力症に陥っているかな…

少人数で落ち着いた規模でも、1割の生徒が欠けている

高校は空き教室が多かったです。

少子化で1学年5クラスで学年がスタート。

毎年少しずつ退学していき、9割しか生徒が残っていないとのこと。

学校のパンフレットにも

「協同の学びを大切にします」

という文言が書かれており、この高校に赴任した先生は必ず授業研究会で授業を公開しなければならない決まりになっています。

しかし非常勤講師の先生にはそこまでお願い出来ず一斉授業になっているとのことです。

 

進級に関しては、3科目まで欠点があれば年度末に追試が受けられ、一科目でも落とすと留年もできません。

それまでに欠点課題が学期ごとに出され、テストの点数だけでは判断しないようにされています。

ただ、四則演算ができない、英語のb、dを間違えるようなLDの生徒に関しては特別支援の専門員が巡回してきて放課後に指導を行い、予防的措置を施しているとのこと。

正直、上位層の生徒に講習を行うなどの進学指導は出来ていないそうです。

おまけ 田奈高校と同じく居場所になる図書館あり!

教室内に非常に魅力的な図書館便りが貼られており、授業見学のついでに図書室も見せていただきました。
(図書室便りにlearn bettrを紹介ってステキ!)

神奈川県立田奈高校のぴっかりカフェを模したような明るく生徒の居場所になりやすいようなデザイン。

headlines.yahoo.co.jp

マンガが3000冊、ラノベもかなり多く、昼休みのみ、生徒が図書室で飲食できるようになっています。

畳のスペースもあり、非常にくつろげると感じました。

文化祭が近いのでコスプレ読本、文化祭の企画本など生徒が手に取りやすいような薄さの本が平置きされていました。

地域の若者サポートステーションとタイアップしており、お茶とお菓子が無料で出る「カフェ」も月に1度行われているそうです。

まとめ

以上、とても参考になる学校見学でした。

印象的だったのは、生徒が使っている教科書の上部に全て氏名印を押していたところです。

本校の生徒もよく教科書をなくしてしまうので、教科書の上部(調べたら、天と言うらしい)に氏名印を押すアイデアは大いにありだと感じました。

ハンコ押してから教科書を渡すのかなど、ちょっと気になっています。

厳しい生徒指導で「やんちゃ」な生徒が目立たなくなっているからか、無気力な生徒が相談もなく辞めてしまう…ということもあるそう。

勤務先は常にお祭りのような騒がしさ、廊下では女子の叫び声、男子は走り回って追いかけっこをるような状況が日常的にあり、頑張りたい子が腐ってしまう…。

見学して、実際に改革に関わった先生にお話を伺うことで

「授業さえ変えれば、生徒は授業中にスマホをやめて楽しく参加してくれるはず」

という見通しは甘いということがわかりました。

生徒が自ら考え行動できるようになるような学校になったら言うことなし、なんでしょうけどね…。

itot.jp

ルールを守ることをまずはやっていかなければ、授業改革にたどり着くのは難しそうです。

ではまた☆