[書評]教育への期待や幻想に冷静に突っ込む新書「教育幻想 クールティーチャー宣言」
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読書メーターで他の本の感想を書いたときに、「この本を読んだ人はこんな本も読んでいます」に入っていて感想など読み即図書館へ。結局購入しました。
読んで付箋をつけていたら毎ページつけちゃいそうになって途中でやめました。。。
そのくらい、共感した本。
紹介を書いていると全ページ写すことになっちゃうかも?!と思いつつチャレンジしてみます。
教育への幻想に冷静に突っ込む
amazonの案内より。
学校の目的は「すばらしい人を作る」ことではなく、「社会に適応できる人」を育成すること。
自由も管理も理想も現実も、こと教育となると極端に考えがち。
問題を「分けて考えて」、より「マシな」解決の道筋を見つけよう。
学校の成り立ちから説明されてます。
もともと、農作業中心で自然の時間の中で生きてきた人を「産業的身体」に慣らすために作られたのが学校。
学校で当たり前と思われている「時間厳守」「忘れ物しない」「私語禁止」「気分が乗らないからと休むな」は、近代の産業社会の担い手として、国民に要求された身体性だった。
このようにして、もともと学校は高邁な理想を持って、人間の資質や個性を伸ばそうとしてうまれた場所ではない。
だからあまり肩肘張らずに、はじめから学校を理想化して思い描かないほうがいい。
バランスの良い学校イメージを保とうと言うのが主張。
学校って理想にあふれた場所である!って主張が多いので、この辺読んでてそうだよねーって思いました。
人間関係には、「ルール関係」「フィーリング関係」がある。
「僕たち仲間、一緒にがんばろう」とフィーリング関係でクラス運営をすることが多かったが、今やフィーリング関係に依存したクラス運営では上手くいかないのでは。
むしろルール関係を打ち立てていくことが必要なのでは?
ほんと、クラスを一つにって・・・難しいんだよね。。。
「人柄思考」に偏るな!「事柄思考」の視点を入れていけ!
「事柄志向」「人柄志向」というキーワードがある。
事柄は、相手の人格に影響されず、事実を見ていくこと。人柄は、事実より背景の文脈や人となりから判断すること。
心の教育は人柄志向。
いじめが起こったときに、いじめについて作文を書かせるのではなく、どうしたらこれ以上いじめが起こらないよう防ぐことが出来るのか手を打つほうが大事。
ほんと、まさにそうです。
書くことは、自分の本当の気持ちを書けるわけではない。
反省文で反省できるかって、微妙。。。
教員は、常に
「いま、自分は人柄志向で指導しているのか、事柄志向でしているのか、確認しておく必要がある」
大事なことです。
というか、やっぱり人柄志向の方に偏りがち。。。
教育のお題目の二項対立、どう考える?
上記のような、二項対立するような軸がいくつか出てきます。それが分かりやすい。
「共通基盤」「先生のプロデュース領域」
「友達関係」「上下関係」
「心の教育」「行いの教育」
「規律」「自由」
「社会総体を批判する」「現実社会での生き方を教える」
教育はどちらか極端に振れやすいので、もうちょっと間を行けないの?という主張。共感します。
ちなみに、私は特に高校時代、「自由」側に寄った学校生活を過ごしました。
最小限のルールで何とかなるような集団だったのだろうとは思うんだけど…。
もっと規律があったほうがよかったかな~子どもを入れるか?って言われたらビミョー。
(いや、今や県の進学なんとか校に選ばれて、もはや入れないんだけど)
「社会総体を批判する」も強かったかも。。
学校教育のせいかは今や不明。
ホットすぎずに、クールティーチャーのすすめ
そんなことを踏まえて、著者が提案しているのが「クールティーチャー」のススメ。
- 教育に対する情熱は人一倍持ち、しかし冷静に生徒や児童を見ていて、どんな子どもに対しても、最低限基本のサービスを提供できる先生。
- しかもさらに伸びそうな子には、個性を尊重しながらアドバイスが出来る先生。
- クラスを家族のようには考えない。つまりあまりにも共同体的志向を強くしすぎずに、子ども達の学力や状況について、客観的情報やデータに基づいた分析をきちんとできる先生。
優秀な先生は、出来てるんだろうなぁ~。
私もがんばろう。
まとめ
他、紹介できませんでしたが、魅力的な項目の数々。
- 「座学」の大切さ
- 「みんな仲良く」は実現不可能
- 自由だけが常態化するとモラルは下がる
- 先生は生徒の記憶に残らなくていい
- 学校教育に「ビジネスマインド」を持ち込むのもほどほどに
- 「おまえの人生なんだから、自分で決めろ」は無責任
- 「働かなければ、生き続けることはできない」を教える
よかったらめくってみてください~。
ではまた☆