[書評]気鋭の教育学者、苫野先生の苦悩と哲学が学べる!本「子どもの頃から哲学者」
「哲学って宗教とどう違うの?」
「哲学は教育に役立つの?」
私は、高校の倫理の授業で挫折したクチです。
苫野先生の、
「勉強するのはなんのため?」
新書「教育の力」
を過去に読んでます。
著者はイケメンで頭もキレるし、今までの人生もさぞかし輝かしかったことでしょう。
と思っていたら…この本で大きく覆されました!
手塚治虫を愛し、ほかの子がハマっているテレビゲームには見向きもしない。
孤独を愛しているフリをしているものの、周囲から愛されたい欲求が。
高校、大学とさらにこじらせなんと8年間も躁鬱を繰り返し、2日間笑いと嗚咽が止まらないという状態を周囲に見られドン引きされてしまう…。
そんな苫野青年を救ったのが哲学!
人類の歴史の中でどんな哲学者が何に悩み考えを深めていったのか、著者の当時の悩みに寄り添っていて読みやすかったです。
「なぜ哲学書が読みにくいか」
も理解できました。
哲学の力を信じたい。
今回は、私を含め先生方の悩みに役立ちそうな哲学者の考え方をご紹介します。
正しいことなんてない、からの脱却
現代の哲学はあらゆるものを早退し尽くした、これをポストモダン思想と言います。
自分たちが絶対に正しいと主張して殺し合う悲惨なイデオロギー戦争が20世紀までの戦争だったからです。
しかし、正しいことなんて何もないと言ってるだけでは、それならばどんな社会なら良いのかという答えは見えてきません。
お互いの信念をただ主張しあっていたら、どちらが正しいかの言い合いになっています。
しかし、その信念の底にある欲望の次元までさかのぼってみることで、
「そんな理由でこんなことを考えていたんだね」
という一定の共通理解が生まれる可能性があります。
自分が自由に生きたいのであれば、それを主張し合うだけではなく、他のみんなも自由に生きたいんだということをまずはお互いに認め合う。
これを、自由の相互承認の原理と言います。
これは二百数十年前に、ヘーゲルによって示された考え方です。
なるほどそうだね、と多くの人が納得できる解が哲学
哲学の用語では原理的といった普遍的といった言葉を多用します。
それは絶対の真理ということを意味せず、誰もが、
「なるほど、それは確かにその通りだね」
と言えるかどうか、哲学はそういうものだそうです。
つい、絶対的な答えなのかな…って思っていました。
誤解が解けて良かったです。
なぜ、哲学書が難しいのか?
哲学書が難しい理由の一つに、当時は社会でその概念がなかったことで、哲学者が頭をひねって作り出した新しい言葉だから、ということが挙げられます。
当時の哲学者にとっては新しい概念だったにもかかわらず、私たちにとってはすでに当たり前のことになっていることも多いです。
「なぜそういった概念を新たに、難解な言葉回しで学ぶ必要があるのか?」
といったこともモチベーションが下がる理由の一つに挙げられると思います。
先程申し上げたように、高校時代の倫理の授業は先人の考え方をなぜ暗記しなければならないのか、と疑問に思う苦手な科目でした。
苫野さんのようなわかりやすい哲学書があると大変助かります。
この本は悩み大きい、高校生や大学生にもぜひ読んでもらいたいですね
まとめ
著者は哲学に出会うまでの間、自分の問題だけに精一杯で社会のことにはほとんど関心がなかったそうです。
しかし哲学を学んだ今では、これからの世界をどう構築していけばよいのか、なんてことを探求できているそうです。
「自分とは何者なのか??」
という狭い視野の中だけでなく、社会との関わりの中で自分というものを考えていけることで自分の内側の狭い悩みから脱出できるようですよ。
ちなみに哲学者は、元々うつ傾向の人が多いらしいです。
苫野一徳青年が衝撃を受けて師事した哲学者は、竹田青嗣先生です。
新書なら、読みやすいかもしれませんね。
ではまた☆
[学校見学]「協同的な学びで学校を変えた」高校へ!授業改革と生徒指導は改革の両輪。
今年は、新しい教育課程を作る委員のメンバーになっています。
その一環として、
「協同的な学びで学校を変えた」
という触れ込みのS高校へ出張してきました。
午前中、3時間の授業見学と、1時間の懇談というなんとも贅沢なスケジュール!
お付き合い下さった先生方に感謝です。
カリキュラムはなんとも普通
新カリキュラム研究のためもあり、教育課程表を拝見したところ、1.2年生までは全て必修。
3年生で選択が3科目あり理系文系、進学クラスは設定しないという教育課程表でした。
一学年5クラス、一学年の時は手厚く6クラス展開をしています。
英語や数学の授業は少人数授業を行っています。
総合的な学習の時間については、週に1時間ほど担任が進路の時間として活用しているそうです。
自分の気持ちを表現する、書かせるという指導を重んじているということでした。
見学した授業は、グループやペア学習が保障されていた
3時間ほど授業を見学しました。
3年生の日本史、2年生の英語、1年生は現代社会。
それぞれペアワークやグループ学習の時間が設定されていて、寝ている生徒は1人もいませんでした。
一クラスが30人前半のため、教室もゆったりしており、生徒1人1人に目が行き届くようになっています。
3年生の日本史では、4人班はそれぞれ室町時代の疑問点を取り上げ、それに対して違う班が答えをホワイトボードに書いていきまとめるという授業でした。
2年生の英語では、教科書の文章をスラッシュで区切り、ペアでシャープペンシルを渡し合いながらのゲーム要素もありつつ音読を進めていきます。
最後は歩き回りながらペアで暗唱できた部分にサインを貰い、4人サインを貰ったら椅子に座ってよし。
座った人はジャンケンで必ず負けて暗唱を聞く係をするというワークで終わりました。
1年生の現代社会では、死刑制度について賛成か反対かという議論をまたもやホワイトボードで記録し、4人組で発表するというワークをしていました。
勤務先と同じ偏差値帯のはずなのに、生徒が予想よりははるかに落ち着いていました。
5年前は荒れていた!徹底した生徒指導で生徒が落ち着く
先生方との懇談では、S高校に5年いらっしゃる1年生の学年主任の先生とお話できました。
この学校にベテランが異動希望を出すことは皆無に等しく、基本的には新採用の先生が毎年何人も入ってくるのだそうです。
数年前は学校全体が荒れており、お化粧を授業中にする生徒、廊下で生徒のうろつき、教室での殴り合いの喧嘩もあったとか。
しかし、校門前に教員が立ち朝と帰りに化粧を落とさせたり、スカートの丈を戻させる指導を始め、当たり前の学校生活ができるよう徹底的に取り組みました。
携帯の授業中の使用は1週間預かり、その他の違反物は年度末まで預かるものもあります。
継続した指導が功を奏し、2,3年ほど前からはだいぶ落ち着いて、教員も生徒も授業に集中できるようになったそうです。
授業研究から学校改革が始まったとはいえ、生徒が学習するためには落ち着いた環境が必要。
「生徒指導なしの授業改革はあり得ない」
ということでした。
風紀的に見て、高卒で就職する場合に推薦できなさそうな生徒は見当たりません。
私の勤務先は違反物のペナルティーがないこともあり、授業中もスマホをいじり、化粧し放題、机の上に飲み物が置かれているような状態。
是非真似できるところがあればしたいとも思いますが、厳しい指導に反対する先生も一定おり、難しいかもしれません…。
正直、教員が学習性無気力症に陥っているかな…
少人数で落ち着いた規模でも、1割の生徒が欠けている
高校は空き教室が多かったです。
少子化で1学年5クラスで学年がスタート。
毎年少しずつ退学していき、9割しか生徒が残っていないとのこと。
学校のパンフレットにも
「協同の学びを大切にします」
という文言が書かれており、この高校に赴任した先生は必ず授業研究会で授業を公開しなければならない決まりになっています。
しかし非常勤講師の先生にはそこまでお願い出来ず一斉授業になっているとのことです。
進級に関しては、3科目まで欠点があれば年度末に追試が受けられ、一科目でも落とすと留年もできません。
それまでに欠点課題が学期ごとに出され、テストの点数だけでは判断しないようにされています。
ただ、四則演算ができない、英語のb、dを間違えるようなLDの生徒に関しては特別支援の専門員が巡回してきて放課後に指導を行い、予防的措置を施しているとのこと。
正直、上位層の生徒に講習を行うなどの進学指導は出来ていないそうです。
おまけ 田奈高校と同じく居場所になる図書館あり!
教室内に非常に魅力的な図書館便りが貼られており、授業見学のついでに図書室も見せていただきました。
(図書室便りにlearn bettrを紹介ってステキ!)
神奈川県立田奈高校のぴっかりカフェを模したような明るく生徒の居場所になりやすいようなデザイン。
マンガが3000冊、ラノベもかなり多く、昼休みのみ、生徒が図書室で飲食できるようになっています。
畳のスペースもあり、非常にくつろげると感じました。
文化祭が近いのでコスプレ読本、文化祭の企画本など生徒が手に取りやすいような薄さの本が平置きされていました。
地域の若者サポートステーションとタイアップしており、お茶とお菓子が無料で出る「カフェ」も月に1度行われているそうです。
まとめ
以上、とても参考になる学校見学でした。
印象的だったのは、生徒が使っている教科書の上部に全て氏名印を押していたところです。
本校の生徒もよく教科書をなくしてしまうので、教科書の上部(調べたら、天と言うらしい)に氏名印を押すアイデアは大いにありだと感じました。
ハンコ押してから教科書を渡すのかなど、ちょっと気になっています。
厳しい生徒指導で「やんちゃ」な生徒が目立たなくなっているからか、無気力な生徒が相談もなく辞めてしまう…ということもあるそう。
勤務先は常にお祭りのような騒がしさ、廊下では女子の叫び声、男子は走り回って追いかけっこをるような状況が日常的にあり、頑張りたい子が腐ってしまう…。
見学して、実際に改革に関わった先生にお話を伺うことで
「授業さえ変えれば、生徒は授業中にスマホをやめて楽しく参加してくれるはず」
という見通しは甘いということがわかりました。
生徒が自ら考え行動できるようになるような学校になったら言うことなし、なんでしょうけどね…。
ルールを守ることをまずはやっていかなければ、授業改革にたどり着くのは難しそうです。
ではまた☆
[働き方]私立学校で、労働基準監督署の是正勧告により職場に起きた変化とは?
「職場の労働環境はどうすれば良くなるの?」
「労働基準監督署の是正勧告が入ってどうなった?」
最近教員が労働環境について声を上げることが多くなってきました。
この「まなびと」のTwitterからも情報発信をするようになってから現役の先生方とも交流するようになりました。
匿名で、教育実践のみならず労働環境についてツイートをしている方が多いです。
「これだけ酷い環境で労働しているのはやりがいを通り越して辛い」
「なりたくて教員になったけれども、自分の身を守るだけで精一杯。周りの新人の先生が潰れていくのを見ていくだけ」
といった悲しいツイートを目にすることもあります。
私の勤めている職場は離職率はそれほど高くはありませんが、度重なる生活指導や労働時間の長さなど、他の学校と同じように問題を抱えています。
組合員で積極的に活動している先生方は、労働環境を良くするために日々努力していらっしゃいます。
それでもなかなか仕事のルールが変わらない状態のなか、数年前に勤務先の高校に労働基準監督署の是正勧告が入りました。
是正勧告のお陰で仕組みづくりがすすんだのか、もともとそうなる予定だったのか?
労働基準監督署の是正勧告の前後に起きた労働環境の変化について書いてみたいと思います。
タイムカードが導入された
以前の勤務先ではタイムカードが導入されていたため、今の職場で働き始めてタイムカードがないことにびっくり。
残業しようがしまいが給料が変わらないため、勤務日ににハンコを押すだけで勤怠管理していました。
しかし、是正勧告があってから、ICカードでの勤怠管理を行うようになりました。
自分がどの程度、何時間働いたのか、職場のサイトからも確認することができます。
また、規定時間以上の残業があった職員に対しては、産業医の面接が行われます。
36(サブロク)協定が結ばれた
雇用者と組合の間で、36(サブロク)協定が結ばれました。
あまり詳しくは分かっていなかったのですが、「時間外・休日労働に関する協定届」ということで本来は協定届をしないと時間外、休日労働はさせるのは違法らしい…?
労働基準法第36条には
「労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない」と定められています。会社が法定労働時間以上の残業や法定休日出勤を従業員に課す場合には、本来は労使間で「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結し、別途「36協定届」を労働基準監督署に届け出ることになっています。
勤務先にも公立学校の教員と同じように調整手当があり、一定の割合で支払われています。
調整手当に加えて、毎月一定時間以上の残業が重なった場合には残業代が出るようになりました。
とはいえ、校長が認める、指示した残業についてのみです。
授業準備をしたり、学級通信を書いたり、部活での残業には当然残業時間分の手当はつきません。
「労働安全衛生委員会」が発足した
職場に作らなければならないはずの労働安全衛生委員会が発足しました。
何人かの職員が集まり、職場環境が安全かどうかアンケートを取ったりしています。
ただし、このアンケートが取られたからといって、職員室の環境が改善することはあまり無いように感じます。
職員室の荷物の高さ制限とかね。
あ、でもトイレの洋式化は実現しました。
個人的には、勤務時間の喫煙は控えてほしい!
しかし、アンケートに書いても改善される見込みはなさそうです。
この委員会に参加することで、労働時間が長くなってしまう人がいるのも少し考えものです。
夕食補助がなくなった
我が職場には長年、勤務時刻が19時を過ぎると一定程度の夕食補助がつくという謎の仕組みがありました。
夕食が届いてから食べるまでの時間に仕事をすればもっと早く帰れるのではと思うのは私だけでしょうか。
長時間労働を助長するような仕組み…?
やっと補助がなくなり、予想していた通りに多くの職員の労働時間は短くなりました。
さまざまな仕組みのお陰で、労働時間が短くなった
上記のような取り組みで、職員の労働時間はかなり短くなったようです。
100時間を超えるような超過勤務をしている教員は数えるほどになりました。
多くの教員が19時過ぎに夕食補助を取り、夕食を食べてからまた一仕事ということで10時過ぎに帰る教員も多かったようです。
(私は、子どもの保育園の送迎もあり、遅くとも19時までに職場を出るようにしています)
施錠時間が早まったこともあり、多くの教員は21時前後に帰れるようになりました。
まとめ
労働時間に関しては、個人の努力で帰宅時間を早めることも可能ではありません。
でも、ゲームのルールが変わらない中、そこで上手くやろうと努力するのって限界がありませんか?
そもそもの「働き方」ゲームのルールをどう変えていくかがこの教員の働き方改革に求められている気がしてなりません。
職場のどなたが、労働基準監督署に申告をしたことで労働基準監督署の是正勧告が入ったことになります。
私立学校は公立学校と異なり、民間企業と同じ扱いになります。
是正勧告が入った場合には改善をしなければならないので、外圧を利用するのも一つの手。
なるべくなら教育環境をを気にせずに教育実践を中心にこのブログで書いていきたいのです。
でも、現実は教員といえども労働者。
働く環境を改善していくことで、教員が毎日元気でいられることもよい教育をしていくためにも大事なことですよね。
ではまた☆
[書評]なぜ偏差値50の公立高校が世界の大学から注目されるようになったのか?!
「学校ってなかなか変わらないよね…」
「今のままの学校制度だと、今子どもにつけたい力がつかないんじゃないかな?」
そんな悩みを打破するような実践本が出版されました!
なぜ偏差値50の公立高校が世界の大学から注目されるようになったのか!?
今回ご紹介したい本はこちらです!
勤務先は偏差値40前後をウロウロ、わが子は偏差値25。
自分自身が偏差値にとらわれてしまっているため、Amazonでおすすめとして出てきたとしても絶対手に取らないような本。
しかし、岩瀬直樹先生のfaceboookにおすすめ本として投稿されていたので思わずポチしてしまいました。
読んで良かった!
読み途中なのに、職場や家で激しくおすすめするという事態に…!
大阪府立箕面高校の日野田校長・8つのスゴイ点とは!
だいぶネタバレになってしまいますが、内容についてご紹介しておきます。
1.校長が36歳で赴任、「校長は専門職である」という観点からマネジメント
→「校長は別に偉くないし、アメリカなど海外では若い校長も別段珍しくない」とのこと。
2.職員に「困ってることはありませんか」と聞きまわり、学校をうろついて廊下の掃除しながら授業の様子を伺う
→校長が校長室にいるままで、現場の授業の様子も知らないままでは学校は変えられない。
ですよね…でも、それできてない校長多いですよね…。
3.トップダウンではなく、サーバントリーダーシップ。多数決では特定の集団が必ず勝つため採用しない。議論を尽くす。
→始めのうちは、職員の方が心を開いて困ったことを話してもくれなかったそうです。
私なら、すぐに困ったこと言いに行っちゃうかもしれない。
そして、多数決を採用すると特定の集団が勝ち続けてしまうとか。
我が社の議決も、そういえば特定の考えを持った人が必ず勝ち続けているような…気のせいだろうか…。
(夫は、「それでも校長が考えたことが決まっていくんでしょ?それトップダウンとどう違うの?」って言ってましたけどね)
4.英語重点校になり、現場の先生では厳しいからとベルリッツに土曜日授業をしてもらう。日本語でいいからクリティカルシンキングなどグローバルな思考を身につけさせる
→グローバル思考とでもいいますか、「マインドセット」「多様性」など、まず生徒の考え方をインストールし直したいと考えたそうです。
確かに、日本人は講演でも質問しないし、自ら考えて行動できないと言われています。
「人の言うことを聞き、疑問を持たず従う」
ような教育を今もしている時点で罪深さを知るというか…生徒に申し訳なくなっちゃいました。
5.単なるホームステイと現地校での学習では力がつかないと考え、MITでアントレプレナー教育を実施。こちらもベルリッツ同様外部の力を借りる。費用のない生徒のために学内でも海外の大学生を呼び、ワークショップ実施。海外の大学生とコネクションも持てた。
→現地留学のプログラムを考え、実施するところまではなかなか難しいですよね。
とりあえずパッケージプランにおまかせしてしまうというか…。
生徒にとってはかなりハードだったようですが、自分で発言したり行動したりする力がついたようです。
6.社会起業家的な視点を身につけた生徒が海外の大学に行きたいとなり、2017年度には30名以上が海外の大学に進学
→地域4番手の高校と言うことですが、東京の私立中高でもこれだけの成果を出すことは難しいでしょう。
「高校3年間で生徒のマインドセットを変えていくのは難しい。中高6年間あればいいのに」
と思っていましたが…3年間でも生徒自身が変わりたいと思える経験をさせてあげられるかどうかにかかっているかもしれません。
我が身を振り返り反省…。
7.教員の働き方改革も実施。教師の負担になっている仕事を教員から上げてもらい削減。
→21時まで残っている先生に、
「帰りましょう」
と声をかけ続けた。
なぜ、しているのか目的がよくわからない行事を削減するなどして、
「家族のために働いている」
を実現する。
我が社でも実現できないだろうか…。
8.職員や生徒の対話が進むよう、ひとまちのホワイトボードミーティングなど研修を入れる。壁をホワイトボードにして教室にも導入。議論を見える化
→私も、職場で
「クラスで話し合い活動を活発に」
と管理職から言われています。
でも、教師自身が話し合いの方法を分かっていない。
40人いる教室で、司会から
「話し合ってください」
と言われて機能する教室は1つもありません。
だから、夏の研修にホワイトボードミーティングを入れてほしいとお願いしたのですが、、、
「ハウツーなら本を読めばいい。もっと勉強になる講演を聞いて職員の考えを深めるべきだ」
と言われて却下されました。
夏の研修会は、講演が2本。勉強にはなりましたが…
「教師に必要なスキルを身につける研修」
も必要だと思うんですけどね〜。
まとめ
本を読み、自分の職場で何が採り入れられるのかな〜って考えてみました。
ちなみに、偏差値50は河合塾のもので、みん高では65でしたよ。
オイオイ…。
本に書かれてるような、地域4番手ってうちの近所だとホントに偏差値50なんだけど?
家でオットともこの話題て話せて、よい対話が出来ました。
まだ多くの人に読まれていない本のようですが、おすすめします。
日野田先生登壇のイベントも知人から教えていただきました♪
10/14に開催されます。
予定…空いてるかな…
ではまた☆
[書評]「私学流 特別支援教育」私学の現状、教室支援とカウンセリングの取り組みがわかる!
「特別支援教育は公立学校に任せておけばいい」
「高校には特別支援教育が必要な生徒はいないはず」
公立学校では高校まで特別支援教育の必要性が浸透してきたようですが、私立学校はまだまだそこまでたどり着いていないようです。
2016年4月1日に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行され、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」が内容の中核となりました。
しかし、上記の項目については、国及び地方公共団体はその両方が法的義務とされるのに対し、事業者は前者のみが法的義務で後者は努力義務とされているのです。
>>障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 - 内閣府
この本では、私学の特別支援教育が進まない背景や、実際に特別支援教育を念頭に入れた学習指導や生徒指導を行っている具体例を示してくれています。
私立学校で特別支援教育が進まない背景
上記のように、私立学校では合理的配慮が努力義務であるため、特別支援教育がなかなか取り入れられていない現状があります。
例えば入試相談会の席上で発達障害のことを話題にした途端、学校が対応が冷たくなったりということがいまだにありますよね。
よく私学は、指導のきめ細やかさや面倒見のよさが売りであると言われています。
そのエビデンスは「特別支援教育においてはどこにあるのか」首を傾げざるを得ない状態もあります。
実際の数値で見てみると、私立中学高等学校においては
- 特別支援教育コーディネーターの指名は4割前後
- 個別の指導計画に至っては1割
という残念な結果に終わっているそうです
私も私立学校で勤めてきて、この本にあるように
「意識の壁として教科指導が教員の本分であり、特別支援教育は専門家のやることだと考える教員」
「経営的に見ても、特別支援教育については手間や人員がかかるため効率性の悪いものにはなかなか予算がつかない」
といった傾向があると感じています。
行政機関との繋がりに関しても、私立学校の場合は地域を超えて入学してくるために生徒の住まいによって連携機関を帰ることや小中との連携が難しいことなども挙げられました。
教室での特別支援教育
この本では、教室での特別支援教育の例がいくつか挙げられています。
- 空気が読めない博士タイプ、指示が教員が言った通りに行動できない生徒
- ユニークな生徒として受け止められている生徒
- 落ち着きがない生徒
- 中学受験をなんとか突破してきたにも関わらず、英語学習について困難が見られる生徒
- 提出物を出さず、成績が振るわない生徒
など、いわゆる入試を突破してきた生徒ですら、入学後に困難を示すことが結構あるのだということがわかりました。
いわゆる偏差値帯が低い学校の支援教育だけではなく、偏差値が高い学校、ギフテッドの生徒が多く在籍すると思われるような学校の先生も執筆している点が個人的には興味深かったです。
カウンセリングルーム相談室の整備
私立学校でも株学校にスクールカウンセラーを配置したり、相談室を設置したりする動きが活発になってきています。
スクールカウンセラーは常駐していると生徒や保護者の面談もスムーズですし、担任が1人で生徒指導を抱える必要がなくなります。
また、スクールカウンセラーの呼びかけにより学年でのケース会議も開催できます。
相談室があれば、生徒は何か思わしくない行動があった時に個別に落ち着いて過ごすことができるようになります。
執筆者の勤務先で相談室が設置されている例をいくつか読むことができました。
現在、大学では国公立私立によらず、発達障害学生の支援の仕組みが急速に整えつつあります
全ての大学のうち、障害のある学生に対して授業支援をしているのが61.7%、授業以外の支援を実施しているのが52.9%にのぼり、私立高等学校の支援状況を上回っているそうです。
私も、発達に偏りのある生徒の大学進学指導に関しては、カウンセリングルームや学生相談室が充実している大学を勧めています。
まとめ
私立学校の売りとして、
「特進クラスを作りました」
「ICT活用に力を入れています」
「海外留学ができます」
といった点をアピールしますが、
「特別支援教育に力を入れています」
というアピールをする学校は出てくるのでしょうか。
子育てをする保護者の視点から見ると、そういった私立学校がもっと多くでてきてほしいとは思います。
指導する側としてはもっと一クラスの人数を減らしたりチームティーチングが行われたりといった手厚さが環境への手厚さがもう少し欲しいところです。
この本の終章にあるように、近い将来
「私立学校でも特別支援教育が行われて当たり前、ウリとして伝えなくていい」
の状況になっているといいなと感じました。
私の周囲でも、特に博士タイプの男の子をもつご家庭では公立中学に進むと内申点がもらえない可能性があるため、試験だけで突破でき、同じようなタイプの仲間がいるだろうと中学受験をさせる予定という声をよく聞きます。
そのような生徒が集まるだろうと思われる、麻布や武蔵などの進学校の先生も執筆されていたことが意外な驚きでした。
私立学校の特別支援教育がより良い方向に進む道しるべになる1冊!
おすすめです。
ではまた☆
[セミナー]背筋も凍るスクールロイヤーの話から、やっぱり個人賠償責任保険に入ろうと思った話
弁護士でかつ、学校の先生がいらっしゃるってご存知ですか?!
淑徳中学校・淑徳高等学校の社会科教師であり、3年生のクラス担任や部活の顧問も務めている神内聡先生もその1人。
先日、セミナーで神内先生のお話を聞く機会があったのでご紹介したいと思います。
NHKでも、ドラマが製作されていましたね。
「やけに弁の立つ弁護士が学校で吠える」
法律関係のお友達は見ていましたが、私は学校を舞台にしたドラマがどうも苦手で…(すみません)金八先生を録画して見るタイプじゃないのよ。
でも、神木隆之介くんが主演だったのか…バクマンで見て演技ステキだった…もったいなかったな…。
以前は、
「学校内弁護士」
と名乗っていたそうですが、現在では
「スクールロイヤー」
と名乗ったほうが相手の理解が早いそうです。
セミナーでは、ここには書けなかったオフレコトークとともに学校と弁護士、それぞれの立場についてわかりやすく説明してくださいました。
ぜひお話を聞いてみてください。
「スクールロイヤー」による、生徒指導上の諸問題
お話を伺いながら、印象的だった内容をメモしてみました。
日本の生徒指導の法的問題として考えられることは…
・小中学校では公立私立問わず、いかなる場合も「停学」ができない。→海外ではこのような法制度の国はない
・小中学校では公立は「退学」が、私立は「出席停止」ができない→海外ではこのような法制度の国はない
・「体罰」は例外なく禁止→アメリカ、イスラーム諸国では体罰ができる場合を例外的に設けている。
・日常的に児童生徒と身近に接する教員の仕事があるため、生徒指導でもトラブルが発生しやすい→
海外ではこのような生徒と緊密に接する教員の仕事はない。
海外では3時過ぎに生徒が帰ったら教員も帰宅する。
学校を出たら子どもの責任は保護者がとる。
日本では、LINEなどのトラブルが起きると学校に対応が迫られるが、海外ではそのようなことがない。
・海外では、教員が生徒に接するときは厳格な「上下関係」が存在する。
日本の弁護士には、「子どもの人権」を根拠に生徒と教師の関係を「対等」に誤解する主張も根強い。
海外では卒業式も誰が担任だったかも覚えていないくらい。逆に、日本の教員はリスクもあるがやりがいがあるとも言える。
・子どもはなぜいけないことなのかしっかり説明しなければならない。
しかし生徒は保護者からも叱られ慣れていないことも多いので、保護者へも説明する必要がある。
・校長室に来る保護者は、録音機材が回っていると思ったほうが良い。
秘密録音は適法なので民事裁判でも証拠になる。
よく、
「文書で回答してくれ」
と言われることがあるが、言葉で説明しても記録に録られていると思ったほうが良い。
・学校は子どもを処罰したくて生徒指導しているわけではないが、そのあたりを警察の捜査のように考えている批判的な弁護士も多い。
子どもの更生に携わってきたのでスクールロイヤーになりたいという人が多い。
そういった人は、少年事件専門の事務所が多い。
・指導に従わないというシチュエーションのもとでは、教員が安全に関わる部分で手を出した時に体罰ではない場合もありうる。
・いじめ防止対策推進法ガイドラインの改定があり、教師の負担が重くなる可能性がある。
いじめに関する情報を抱え込んでしまい、いじめ対策組織に報告しないことは、いじめ防止対策推進法23条1項に違反しうる。
今回の改定を行ったいじめ防止対策協議会には現職の現場教員は1人も含まれていない。
いじめの重大事項に当たるからと調査委員会を開けと保護者から申し立てがあった。
正直、いじめの事案ではなく家庭の福祉の事案であることも多い。
・担任と部活のリスクは比較できないほど部活の顧問のほうが重たい。
特に運動部。
雷が予見できないのに部活を行っていた時に落雷があり、生徒が亡くなってしまった。
その結果、裁判で3億円の賠償額が個人の教員に命じられたこともある。
担任がそこまでの賠償責任を負うことはないのではないかとは感じる。
まとめ
以上のようなお話を伺って、神内先生もおっしゃっていたのが
「私立学校の教員こそ訴訟保険に入っておけ!」
でした。
公立の教員は公務員であるため、裁判を起こされても賠償金を払うのは地方自治体である。
しかし、私立学校の場合は個人に対して裁判を起こされた場合、自腹で賠償金を払わなければならない可能性があるそうです。
訴訟保険は2つくらいしかないらしい…。
調べてみたところ、学校ごとに入る賠償保険にまず入っていて、個人に対してもカバーされているかどうかを確認してから入るか決めたほうが良さそうです。
過去にも、個人賠償責任保険については記事を書いています。
「弁護士」の考えと、「学校」の考えの差についても知ることができました。
確かに、保護者が弁護士をつけて学校に来たときも、弁護士の話に「?」となってしまうことも多いようです。
その橋渡し役をしてくれるスクールロイヤーの存在は心強いです。
同じ学校に勤めている同僚から、気軽に相談を持ちかけられることもあるとか。
もちろん無料!
うちの学校にも1人いると、気軽に生徒指導上の悩みについて相談できるのでしょうね。
専門家向けの本ですが、神内先生が執筆されています。
学校に一冊いかがでしょうか。
ではまた☆
[書評]教育困難校の取り組み「再チャレンジ高校」「新座高校の学び」2冊を読み比べ。
「進路多様な学校の生徒たちの様子は?」
「生徒たちに有効な授業や接し方は?」
生徒たちに有効な授業や接し方については、私もいつも迷っています。
進路多様な高校の実践本として、以下の2冊を読みました。
どちらも2018年に発売された、新し目の本です。
もし、偏差値的に似たような学校に勤務しているのであれば、ぜひどちらも読んでみてほしいです。
県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校 (講談社現代新書)
再チャレンジ高校として、小中学校でつらい思いをしてきた生徒を受け入れている槙尾高校の数年間の取り組みについて書かれています。
勤務校と生徒層が近く、読み進めるのが苦しい場面もありました。
槙尾高校と同じく、家庭の教育力がないばかりか毎日虐待など穏やかに暮らせない生徒も少なからずいます。
参考になる点も多くありましたが、一日の殆どを占める授業への取り組みは少なめ。
過酷な環境を生きている生徒への授業外の指導に多く紙面が割かれていて、やはり困難校では授業を中心に学校づくりをするのは難しいのかなと少しガッカリ。
「◯◯科の教員である」と紹介されていても、そのことが全く意味をなさない(笑)。
夜の荒川河川敷を走る、金八先生みたいな話がゴロゴロと…。
ルポルタージュとして書かれているので、センセーショナルな取り組みが取り上げられるのは仕方がない面もあるかもしれません。
インバイトというアルバイトがすらできない生徒のために地域の商工会に依頼し、生徒の育成をお願いするという高校でのインターン企画。
これもなかなか続けるのが難しいことです。
北関東に槙尾高校ではと思う学校があり、ホームページを調べてみました。
本では触れられていませんが、この取り組みは二年ででストップしています。
アルバイトすら受からない、社会性のない生徒を学校外で育てるのは本当に大変です。
私の勤務先でも農業体験などのプログラムを組んだことがありますが、生徒があまりにやんちゃすぎて、二泊三日のプログラム中に生徒指導が多発。
地域の農家の方からも受け入れを断られてしまったため、3年で頓挫してしまいました。
取り組みのために、ものすごい長時間労働をされているだろうと推測されます。
例えば、校長や教頭、ほかやる気があるとされる教員が学校を改革するためのの打ち合わせが飲み屋ですすめられていく。
お酒が飲めない、子育てで遅くまで残れない自分としては、飲み屋インフォーマルな結びつきがなされていくのはなかなか厳しいものがあります 。
読み物としては◎。
「協働の学び」が変えた学校 : 新座高校 学校改革の10年
進路多様な、全校集会で生徒が並ぶのに40分もかかるような学校だった新座高校で、授業を変えていこうと月に一度の授業研究会をすることになった経緯や分析が書かれている本。
授業研究会では、
「教師の授業のやり方云々」
ではなく、
「生徒がこの授業でどのように学んだか」
を授業後に交流していく。
何年か続けていくことで、退学者や保健室の来室人数が減っていく。
授業成立のための、生徒指導含めた改革の取り組みの全容をもう少し知りたかった。
例えば、授業規律をどのように考えているか。
また、頭髪や、風紀指導はどのような取り組みをしているかということについては触れられていませんでした。
後半、地域からの入学者の推移と考察は面白い。
新座高校でも、近所の地域から入ってくる中学生が増えると地域でも認められている証拠だと考えていること。
また、生徒の学力が応募倍率によってかなり異なること。
そのため倍率が高かった年の翌年は倍率が下がりまた揺り戻しがあるということが3年のスパンで起きている。
負担の少ない学年で過ごしたいと思ったら、倍率の高い学年を選ぶと良いかもしれません。
もちろん、本書ではそんなことは書かれていませんよ。
倍率が1倍を切る学年は、他の学年と比較すると指導に困難が伴うということについては激しく同意します。
職員会議で、
「授業研究会を行うことには意味がないのではないか」
と言う揺り戻しの提案があったことなど、どこの学校でも新しいことを続けていくのは本当に大変なことだと感じました。
同じく進路多様校を描いた「再チャレンジ高校」は授業のことはほとんど出てこなかったのと対象的な一冊でした。
まとめ
再チャレンジ高校はルポライターが書いた作品で、新座高校は教育などの雑誌に投稿している先生方がまとめて下さったもの。
どちらの学校についても、
「もう少しこの辺が知りたい!」
「実際に見てみたい!」
という気持ちが湧いてきました 。
現在、新しいカリキュラムを考える委員会に入っているため、是非とも参考にしたいという気持ちが強いです。
特に、学力困難校での授業改革は効果があるのかということが気になっています。
困難校では残念ながら毎回の授業が成立せずに苦痛となってしまうからです。
高校の教員の多くが、
「よりよい授業をしたい!」
と思って教員になったはずなのに…。
そのあたり、偏差値が低かったとしても専門高校だと専門科目が多いため目的意識もある程度見いだせるのです。
就職もほぼ100%ですしね。
全日制普通、総合高校では授業の内容はほぼ大学進学向けの内容であるため、理解できない生徒がどんどん落ちこぼれてしまうのは仕方のないことなのか?
どうすれば困難校で授業が成立するのか、生徒と教師も楽しく授業ができるのかをもう少し考えてみたいです。
どちらの学校にもつてがありそうなので、近いうちに見学に行ってみたいと思います。
ではまた☆
[セミナー]中学生が会場で学び合う姿に感動!『学び合い』フォーラムin静岡2日目の記録
二日目8月5日(日) の記録です。一日目はこちら↓
朝は、ゆったりホテルのビュッフェで朝食。
静岡名物、桜えびのオムレツを目の前で作ってくれるという…なんて贅沢なんでしょうか?!
研修会二日目の朝、元気がでますね。
会場まで向かう途中、駿府城公園を横目に見ながら向かいます。
あくまでお城の跡であって天守閣などはありません。
季節が良ければ趣味の旅ランをすることもあるのですが…今回は酷暑のため旅ランは諦めました。
お城の周りは学校がいっぱい!
駿府城公園の周りをランニングしながら楽しみたかったです。
『学び合い』公開授業(9:30~10:20)
5日目の初めは『学び合い』の公開授業です。
会場の真ん中に長机を出し、静岡地元の中学生の有志が集まって『学び合い』授業を公開してくれます。
参加者200名以上、立ち見が出るような状態です。
この公開授業のすごいところは、小学校で教えた生徒が中学生になっても『学び合い』の授業のために集まってくれるところです。
小学生が中学生になっても、『学び合い』の考え方で授業をしている中学校で過ごすことができているそうです。
また、保護者の方もこの公開授業に参観者として参加してくださり、先生方のインタビューに答えてくださっていました。
- 『学び合い』をするようになって、みんな分からないところを教えたいから、と予習していくようになったお子さん。
- 一斉授業の時にはぼーっとして何も身につかなかったお子さんが、分からない所が分かるようになって学校が楽しくなったとのこと。
- 仲間と助け合う気持ちが、この小学校の『学び合い』の教室で身についた。
など、保護者の方から直接伺うことができる貴重な機会でした。
「数学の課題を30分で全員が説明できるようになる」
という課題を22人の生徒が声を掛け合いながらプリントを完成させていきます。
小学生の頃は『学び合い』の授業課題が終わると、ビー玉を瓶に一つずつ入れていき、いっぱいになったらお楽しみ会ができるという仕掛けがあったそうです。
説明できるようになった生徒からネームプレートをどんどんホワイトボードに貼って行きます。
5分前に全員が名札を貼ることができました。
あと5分あるからといって妥協せずに、本当にこの時形で良いのか吟味にする姿が印象に残りました。
もちろん指名された生徒が回答を答えることができました。
問題を解いている生徒さんに声をかけるのも自由だったので、長机の隙間に参加者の先生方が入り込んでぎゅうぎゅうでした。
が、生徒さんの様子を間近に見ることができる良い機会となりました。
分科会&フリートーク(10:30~11:40)
分科会は全部で8分科会ありました。
できれば高校の実践について話を聞きたいと思っていたところに、以前Twitterで交流させて頂いた杉山史哲先生が会場にお見えになっていたので少しお話を伺いました。
杉山先生が現在コンサルテーションで入っている学校は、校長が『学び合い』を取り入れたいと考えているというので、学校ぐるみで取り組まれているという分科会に参加することに決めました。
一番決め手になったのは、生徒層が勤務先と似ていることです。
総合コースの生徒は概ね偏差値は40前後ということで、親近感がわきました。
ついついインターネットで偏差値を見てから、発表を聞いていいものかどうか判断してしまいます。
分科会では、新しいコースを全てアクティブラーニングの授業で進めていこうと推進しているメンバーの方のお話を伺うことができました。
一斉授業になると、クラスで5人ぐらいしか起きてる生徒はいない。
しかし『学び合い』の授業を導入したことで、生徒が起きて課題に取り組むようになった。
偏差値が同じぐらいとはいえ、私の勤務先よりはかなり落ち着いた印象を持ちました。
勤務先の場合、『学び合い』の考え方を伝えて「さあどうぞ」と言ったところで床に寝っ転がったり車座になり、スマートフォンをさわり出すのがオチです。
お話を伺った学校では、スマートフォンは学校の中では電源を切ってカバンの中に入れるということが徹底されているそう。
課題が終わったからと内職をすることは少ないように見受けられました。
また、新しいプロジェクトを進めていく上では不要な会議や雑務を排除していく必要性についても語られていました。
発表後の質疑も、とても参考になりました。
Find!アクティブラーナーを学校で広めていく方法として、職員会議の前に10分ほど映像を流しておくことが挙げられました。
勤務先でもFind!アクティブラーナーを入れてもらっているのですが…登録者は10数人、何人かはログインIDとパスワードを忘れてしまったと先日言われました。
夏にも職員で動画を観ましょう会を立ち上げましたが、人数が集まらず中止になってしまいました。
来月の職員会議から、開催前に動画を流せるよう交渉します!(どこに??)
あと、ログインすると「◯◯先生オススメの動画」を表示させることができるらしい。
社内メールのSlack利用も便利なのだそうです。
平日仕事のためにコミュニティにログインするのもなかなか大変そうてすが、続けていらっしゃるということが素晴らしい。
週6日制で研究日なし、4週4休も取れない、そんな中大変な苦労を乗り越えて頑張っているのだなと思いました。
勤務先も、これから新しい教育課程を編成していこうという最中なので、取り組みをオープンにしていただけると本当にありがたい!
ご紹介くださった杉山先生は東京に拠点を移されるとのことで、これから交流がすすむといいなと希望を持ちました。
閉会式(11:40~11:50) からのランチ!
一日半の予定が終了し、静岡のスタッフの方も肩の荷が下りてホッとしているところでは…。
運営スタッフのみなさま、本当にお疲れ様でした。
終了後は、『学び合い』古株のお仲間にお誘いいただき、ランチをご一緒しちゃいました。
勤務先の様子や住んでいる自治体の取り組みなど、地元にいるだけではわからないことがリアルに伝わってきます。
関西の例では、
・中学生の進路指導で、新幹線の運転手になりたい
→新幹線の運転手になるには、JR東海に就職しなければならない
→JR西日本では新幹線の運転手になれない、おまけに大卒でJRに就職できるのはエリートだけ
→JR東海から就職口のある高校は限られてる
→全日制普通科でいいの?
と、全体に話をしたところ、専門高校に進学する中学生が増えた。
高校生が問題意識を持ち、主体的に手に職を持ったり地元とつながり職業体験するならジョブ型の高校を増やすことが求められそう。
偏差値山の場所取りをしている全日制普通科がこんなにたくさんある意味はなんだろう?
と、生徒を見ていたり自分の子どもをみていてなんとなく感じています。
ランチは、しらすのピザとチーズ、ノリがうまくマッチしていて家でも作ろうかと思いましたよ!
まとめ
平日夜、普段の土日はワンオペ育児真っ最中!
リアルでセミナーなどに参加するのが難しいので、ネット上の情報が多い『学び合い』関連の情報は大いに参考になっています。
それでも、今回のようにリアルに参加するとテキストでは見えないことが感じられて良い学びになりました。
来年の教室『学び合い』フォーラムは、夏休み前半で福岡、後半で長野で開催の予定です。
行ったことがないという理由で福岡…気になります!
いつか、職場のお仲間を連れて行けたらいいなぁ…。
あべたか先生の感想「『学び合い』は考え方?方法?」も載せておきます。
ではまた☆
[セミナー]すぐに志を同じくする仲間ができる!『学び合い』フォーラムin静岡1日目の記録
今年の夏は、静岡県で行われる学び合いフォーラムに参加してきました。
教員向けの研修会はこの8月の第1週の土日に集中して行われることが多く、どの研修会に参加しようか迷った人も多いようです。
私もどの研修会にしようか迷いました。
が、色々な学校種の先生方とお話できる教室『学び合い』フォーラムを選びました。
200名以上の先生方や教育関係者が集まりました。
今回の特徴として、地元の静岡県の先生が多くを占めていたことがあげられます。
裾野が確実に広がっていることを実感します。
今回の記事では、『学び合い』フォーラムの1日目の様子についてご紹介します。
過去記事についてはこちら。
今回は午前中からの会ということで、朝早くに家を出発し9時過ぎに静岡駅に到着しました。
会場に到着する前から、今回出席するであろう学び合い仲間と連絡を取り、会場で少しお話をする機会があり少し安心しました。
一日目、8月4日(土)の様子です。
基調講演(10:15~11:45)
上越教育大学教授 西川 純氏
西川先生の基調講演では最近発刊された「2030年教師の仕事はこう変わる」で紹介されていた内容と大体同じでした。
これからの社会は工業化社会ではなく、情報化社会でもない、Society 5.0に向けた人材育成が必要になります。
これから少子高齢化となり、脱工業化社会になることで人口も減っていきます。
国内での需要は減り、不景気になるのかで一人170万円の練習で生き抜くためには…結婚が必要になり、また子育てを支えていくためには地域に自分の親がいた方が良いということらしいです。
そのような社会を実現するためには、小学校や中学校から授業を通して男女関係なく関わり合い助け合っていく仕組みが必要だ、と西川先生は説きます。
企業は新社会人を教育する暇がないため、ジョブ型の大学が必要になり高校もジョブ化していくことが予想されます。
4月入社、終身雇用、18歳での大学入学が慣例となっている国は日本だけなのだそうです。
そして、もし失業した際に自分の会社の人しか知り合いがいなかった場合は次の職を見つけるのが難しくなります。
生き抜くため、地域に多様な人とつながっている必要があるのです。
これらを実現させるためには『学び合い』の考え方(技術でなく)が必要というのが西川先生の考え方でした。
もし内容が気になる方はこちらの書籍を参照してみてください。
記念講演(13:00~14:00)
「働き方改革」と教師の協働 文部科学省初等中等教育局教職員課長 柳澤好治氏
今まで様々な研修会に参加してきましたが、文科省の方のお話を聞く機会はなかなかありません。
どうしても雲の上の人だというイメージが拭えません。
ただ今回お話ししてくださった柳澤課長は自ら小学校に出向き、授業をされているそうです。
Society 5.0に関する資料もご紹介がありました。
「Society 5.0とは、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会。
狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会を目指すもの。
第5期科学技術基本計画において、我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された」
日本はまだ工業社会ではないか?特に人材育成の教育面において…とも思うのですが。
情報社会を乗り越えた、具体的な姿を想像するのはなかなか難しいですね…。
これからの教師に期待することとしては
- 急激な社会変化への対応
- 地域の教育課題ニーズへの対応
- 教員需要の減少教についた対応
- 社会とのつながりの強化、実質化
- 資源の有効活用教員の働き方改革、今こそ実現
印象的だったのは、
「教員の働き方改革は今まで見えていなかったが、急に社会からクローズアップされている。今、このタイミングを逃さないことが大切」
ということでした
確かに20年前の先生達も同じような働き方をしてきたような気がします。
何故今クローズアップされてきているのか、社会の動きとは無関係ではいられないようです。
ただ、このタイミングで働き方改革を実現させるためには、教員側で無駄なと思うことや非効率の部分をどんどん排除していかなければ周囲の理解を得ることは難しいとのこと。
文科省が考えている政策を実現させるには…世論が高まっているときに、どう適切な政策を実現させられるかどうかが手腕の見せ所なのだということがわかりました。
柳澤課長は、海外の学校運営に参加したり、なるべく積極的に学校の現場に出たり、研究会に参加してお話をされているということでかなりフレンドリーに感じました。
文部科学省には旧庁舎を生かした情報広場という資料コーナーもありますし、中教審のページを開けば会議の傍聴を申し込むこともできるらしい!
今まで中教審の会議に参加できるなんてことを考えたことがなかったので驚きでした。
「文科省と教員に上下関係はない、役割分担でしかないということ。それぞれ役割を協力してより良い教育を作っていこう」
とおっしゃっていたことが印象的でした。
フリートーク(14:00~14:50)
周囲の方と、『学び合い』についてフリートークする時間です。
1人で参加しても、周囲の方と自己紹介しつつ自らの課題についてお話したり交流できました。
パネルディスカッション(14:50~16:20)
「学び合う教師の姿」
上越教育大学教授 水落芳明氏
静岡市立大里中学校校長 山下由修氏
パネルディスカッションは壇上に立たれている3名の方以外に、第四のメンバーとして観客の私達が挙げられていました。
パネルディスカッションで主に話し合われたテーマとしては、
- これからの生徒に必要な資質能力は何か
- 生徒にこれから必要な資質を身につけさせるために教師に求められること
- 全員が自分なりの考えを主張できるようになる
というのが今回の課題です。
1番と2番については壇上の先生方がクリップボードにホワイトボードに字を書いてその内容の説明をしてくださいました。
参加者の中でのディスカッションは私の周りで広島と長野、愛知と多様な地域の方の興味深いお話を伺うことができました。
最後は、自分なりの考えを3人の人に説明できるようになるという『学び合い』ならではの課題が示されたました。
立ち歩きをしながら、声をかけた方にテーマについて説明をして、課題が終ったら座ります。
課題が終わっていなさそうな方に自ら声をかけられたら『学び合い』マインドが身についているということになりますね!
「学び合う教師の姿」テーマがそのまま実現されました。
それぞれのセクションで周囲の方と課題について話し合う時間があり、初日から何名か志を共にする同士ができました!
静岡、夜のお楽しみ
今年のテーマは「一人時間も楽しもう」ということで懇親会は出ずに一人で夜の静岡の街をぶらぶらすることにしました。
夜ご飯に選んだのは静岡では有名なハンバーグのチェーン店である「さわやか」というお店に寄ることにしました。
静岡のハンバーグレストランさわやかは、ピーク時は1時間待ちがザラという人気のレストランです。
名物のげんこつハンバーグ250グラムを頼んだところ、かなりのボリューム!
げんこつの大きさのハンバーグを二つに分けて鉄板でさらに店員さんが焼いてくれます。
外はしっかり焼け、中は生焼け風!
牛肉100%のどっしりしたハンバーグです。
余裕!と思っていたら…お腹がいっぱいになりました。
その後、旅行会社の方が斡旋してくださったガーデンホテル静岡に宿泊しました。
昨年宿泊したおしゃれなドミトリーも良かったですが…40過ぎの人間にとっては夜12時以降も周りの生活音で寝られないというのは辛いものがありました。
今回はシングルの部屋で一人!
テレビを見ながらくつろいでお風呂に入ったり、パソコンをいじったりと普段家族と一緒にいてできない事も色々と出来ました。
出張の醍醐味は学びと共に、一人で過ごす時間にもあると実感する子持ち教員の感想でした。
2日目のレポートに続きます。
ではまた☆
[便利]テクノロジーを積極的に利用していますか?日常生活の便利アイテムを職場に活かしたい。
今年の春から勝間和代さんのコミュニティに参加しています。
そこで、おすすめのITツールを紹介するという課題がありました。
ITツールを使えば、自分が努力するよりも何倍も早く、技術を手軽に身につけることができるということです。
確かに…ですね。
セミナーの内容に伴い、
「自分が使っているITツール」
が宿題でした。
コミュニティに書き込んだコメントを編集してお送りします。
①自分がこれまで使ってきたお勧めのITツールを教えてください。
amazon echoの声でお知らせリマインダー
我が家では主にタイマーやアラーム、ショッピングリストでGoogle Home を使っていました。
Amazon の Echo で声でリマインダーをお知らせしてくれることがわかり早速設定してみることにしました。
スマートフォン側から時間を設定しておくと7時にピアノの練習のリマインダーですと2回お知らせしてくれますこれで私がリマインダーばかりになることなく家族でやるべきことを共有できるようになりました
https://usagix.com/2018/07/14816/
iphoneのgboradキーボードと音声入力(ios)
iPhone 向けの Google仕様のキーボードと音声入力のアプリです。
たまに落ちてしまったり、キーボードの画面がおかしくなったりするのですがiOS の音声入力よりも正確なため重宝しています。
キーボードからGoogle 検索の結果を貼り付けたりできてなかなか便利です。
片手キーボード Pro などのキーボードアプリも利用していましたが、やめてこのgboradを使っています。
Eparkお薬手帳アプリ(ios)
近所にこのおくすり手帳アプリを使っている薬局があり、インストールして処方箋を撮影して送ったところ薬局に着いた時点で薬が用意されていて大変便利でした!
この薬局はチェーン店でクレジットカードが使え、ポイントも付いて助かっています。
cal2todoアプリ(ios)
カレンダーに書いた予定をそのままto do リストにしてくれるアプリです。
予定を終えたらタップしてタスクを消していきます。
iphoneカレンダーと連携すると、AppleWatchのsiriの文字盤にもバンバン出てくるのでタスクのやり残しが減りました。
いつから使っているのかとブログを検索してみたら、なんと2013年から使っていました…!
今も開発が続けられているので大変助かっています。
Fireshot(google拡張機能)
このFireshotアプリは Google 拡張機能でウェブページを印刷したり PDF 化したり任意の場所を切り取って保存したりできる拡張機能です。
ブログにスクリーンショットを貼るのに役立っております♪
職場の印刷機のスキャナー
職場に紙が増えて困っているところに、同僚が
「職場の印刷機、スキャナーとして使えるよ」
と教えてくれました。
学校は B 4サイズの用紙が多いため、私が持っている小さなスキャナーでは読み込みが難しく、縮小してからスキャンしていたためとても助かりました。
それまで切り貼りしていたプリントをどのようにデータ化するか悩んでいたのですが、手間なくデータ化できて今まで保存していた何百枚かの紙を処分することができました!
ちなみに、DR-150という5年くらい前に購入した両面プリントや名刺、15枚程度のソートもできるスキャナーですが、メルカリで安いものが2,500円程度で売っていてびっくりしました。
高額なスキャナーを購入するより、こちらでお試ししてみては?!
②また、そのツールを使う上で工夫していることを教えてください。
iOS アプリなら、無料であればどんどんダウンロードして使い心地を試すことです。
とりあえずダウンロードして使ってみてダメなら消して行きます。
アプリが有料だとしても100円や200円ならとりあえず買ってみることが投資として必要なことかと思います。
家にGooglehomeとAmazonEchoがある時点で、ITツールについては新しもの好きなんでしょうかね…。
③日常生活でITについて困っていることを教えてください。
日常生活とは異なるかもしれませんが、職場に潤沢な資金がなく it ツールが全く広がらないのが悩みです。
予算がないとなかなかお試しということができないため、
「とにかく失敗したくない!」
という思いで100%正解が出るまで時間をかけて議論し尽くして何百万かかけて購入してみるのですが、結局ほとんど使われなかったり埃をかぶったりするようなツールがあり正直がっかりしています。
1台15万のwindowsタブレットPCを各階に10台ずつ導入
→職員が配布されているのはデスクトップPCのため使い勝手がわからず、1クラス分のタブレットもないため使える教員が限られています。
生徒のアウトプットを集める専用アプリを導入するも、書いてもらったことは画像ファイルのままでテキストデータ化できず。
また、ツールを生徒が使えるようになるまでの学習時間もかかります。
使えるまでたどり着かずあっという間に授業時間が過ぎてしまう、などなどの問題が…。
個人的には費用がかからないGoogleの教育機関向けツールなどの提案をしています。
しかし、提案まではできるものの中々必要性を感じてもらうことができず困っています。
まとめ
日常のITツールを中心にご紹介しました。
皆さんの学校では、どのようにITツールを活用されていますか?
仕事のITツールのあれこれは、書き始めると止まらない…。
日常も仕事もどんどん便利になっていて、スマートフォンやITツールのない世界は考えられないです。
まだまだ、
「ITツールを使うとお金がかかるから、手作り、人海戦術で」
という職場のポリシーはどうにかならないかしら…。。。
ではまた☆