まなびと!

自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[セミナー]背筋も凍るスクールロイヤーの話から、やっぱり個人賠償責任保険に入ろうと思った話

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弁護士でかつ、学校の先生がいらっしゃるってご存知ですか?!

淑徳中学校・淑徳高等学校の社会科教師であり、3年生のクラス担任や部活の顧問も務めている神内聡先生もその1人。

先日、セミナーで神内先生のお話を聞く機会があったのでご紹介したいと思います。

NHKでも、ドラマが製作されていましたね。

「やけに弁の立つ弁護士が学校で吠える」

www.nhk.or.jp

法律関係のお友達は見ていましたが、私は学校を舞台にしたドラマがどうも苦手で…(すみません)金八先生を録画して見るタイプじゃないのよ。

でも、神木隆之介くんが主演だったのか…バクマンで見て演技ステキだった…もったいなかったな…。

以前は、

「学校内弁護士」

と名乗っていたそうですが、現在では

「スクールロイヤー」

と名乗ったほうが相手の理解が早いそうです。

セミナーでは、ここには書けなかったオフレコトークとともに学校と弁護士、それぞれの立場についてわかりやすく説明してくださいました。

legal-agent.jp

ぜひお話を聞いてみてください。

「スクールロイヤー」による、生徒指導上の諸問題

お話を伺いながら、印象的だった内容をメモしてみました。

日本の生徒指導の法的問題として考えられることは…

・小中学校では公立私立問わず、いかなる場合も「停学」ができない。→海外ではこのような法制度の国はない

・小中学校では公立は「退学」が、私立は「出席停止」ができない→海外ではこのような法制度の国はない

・「体罰」は例外なく禁止→アメリカ、イスラーム諸国では体罰ができる場合を例外的に設けている。

・日常的に児童生徒と身近に接する教員の仕事があるため、生徒指導でもトラブルが発生しやすい→

海外ではこのような生徒と緊密に接する教員の仕事はない。

海外では3時過ぎに生徒が帰ったら教員も帰宅する。

学校を出たら子どもの責任は保護者がとる。

日本では、LINEなどのトラブルが起きると学校に対応が迫られるが、海外ではそのようなことがない。

・海外では、教員が生徒に接するときは厳格な「上下関係」が存在する。

日本の弁護士には、「子どもの人権」を根拠に生徒と教師の関係を「対等」に誤解する主張も根強い。

海外では卒業式も誰が担任だったかも覚えていないくらい。逆に、日本の教員はリスクもあるがやりがいがあるとも言える。

・子どもはなぜいけないことなのかしっかり説明しなければならない。

しかし生徒は保護者からも叱られ慣れていないことも多いので、保護者へも説明する必要がある。

・校長室に来る保護者は、録音機材が回っていると思ったほうが良い。

秘密録音は適法なので民事裁判でも証拠になる。

よく、

「文書で回答してくれ」

と言われることがあるが、言葉で説明しても記録に録られていると思ったほうが良い。

・学校は子どもを処罰したくて生徒指導しているわけではないが、そのあたりを警察の捜査のように考えている批判的な弁護士も多い。

子どもの更生に携わってきたのでスクールロイヤーになりたいという人が多い。

そういった人は、少年事件専門の事務所が多い。

・指導に従わないというシチュエーションのもとでは、教員が安全に関わる部分で手を出した時に体罰ではない場合もありうる。

・いじめ防止対策推進法ガイドラインの改定があり、教師の負担が重くなる可能性がある。

いじめに関する情報を抱え込んでしまい、いじめ対策組織に報告しないことは、いじめ防止対策推進法23条1項に違反しうる。

今回の改定を行ったいじめ防止対策協議会には現職の現場教員は1人も含まれていない。

いじめの重大事項に当たるからと調査委員会を開けと保護者から申し立てがあった。

正直、いじめの事案ではなく家庭の福祉の事案であることも多い。

・担任と部活のリスクは比較できないほど部活の顧問のほうが重たい。

特に運動部。

雷が予見できないのに部活を行っていた時に落雷があり、生徒が亡くなってしまった。

その結果、裁判で3億円の賠償額が個人の教員に命じられたこともある。

担任がそこまでの賠償責任を負うことはないのではないかとは感じる。

まとめ

以上のようなお話を伺って、神内先生もおっしゃっていたのが

「私立学校の教員こそ訴訟保険に入っておけ!」

でした。

公立の教員は公務員であるため、裁判を起こされても賠償金を払うのは地方自治体である。

しかし、私立学校の場合は個人に対して裁判を起こされた場合、自腹で賠償金を払わなければならない可能性があるそうです。

訴訟保険は2つくらいしかないらしい…。

調べてみたところ、学校ごとに入る賠償保険にまず入っていて、個人に対してもカバーされているかどうかを確認してから入るか決めたほうが良さそうです。

www.kyousyokuin.or.jp

過去にも、個人賠償責任保険については記事を書いています。

 

manabito.hateblo.jp

「弁護士」の考えと、「学校」の考えの差についても知ることができました。

確かに、保護者が弁護士をつけて学校に来たときも、弁護士の話に「?」となってしまうことも多いようです。

その橋渡し役をしてくれるスクールロイヤーの存在は心強いです。

同じ学校に勤めている同僚から、気軽に相談を持ちかけられることもあるとか。

もちろん無料!

うちの学校にも1人いると、気軽に生徒指導上の悩みについて相談できるのでしょうね。

専門家向けの本ですが、神内先生が執筆されています。

学校に一冊いかがでしょうか。

ではまた☆