[書評]コスパよく教育の質を高めるにはどんな政策をとるべき?「「学力」の経済学」
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9月の初めに読み、皆さんにオススメしたかった本です。教育経済学者の中室牧子さんの著書。
とはいえ、ネットでもかなり絶賛されていて、たくさんの書評が出ているので皆さんもご存知かと思いながらも、ご紹介します。
「学力」の経済学。
教育とお金が絡むの、結構日本人は嫌いますよね…。
でも、少ない予算でどうすれば子どもの力を伸ばすことができるのか?
と、考えた答えが科学的な裏付けもなく、単なる思いつきレベルだったり、その人の経験から導き出されたことだったらどうしますか?
まあ、東大に子どもを入れたお母さんの個人的経験の本も売れているようですし。
じゃあ、教育学って何なんだという気もします。
私は教育学部卒では無いので分からないですけどね〜。
なるほど!メモ
コスパの面から教育を見る、ってなんで今まで考えつかなかったのだろう…。
エビデンスはありますか?
教育再生会議などでは、自分の個人的な経験から主観的な持論を展開している人が後を絶たない。
一方、財政政策や経済政策について文部科学大臣が主観的な発言をする場面はこれまで見られていない。
アメリカでは、そのような状態を2000年代初めには脱しています。
2001年に成立した「落ちこぼれ防止法」では、「科学的根拠に基づく」というフレーズが実に111回も用いられていた。
少人数学級は効果がある?
日本の小学校は40人か、35人かという人数で論じられているが、海外の少人数といえば20人以下が主流である。
では、少人数学級にすれば良いのかといえば、学力を向上させる因果関係はあるものの、他の政策と比較すると費用対効果は低いことも明らかになっている。
少人数学級は、貧困世帯の子どもには効果がとてもあったことが分かっている。
教育予算がOECDで最低とは言うが…
日本の教育予算は、15年間で20%以上減少している。
国際的にも低い水準にあるので、もっとお金をかけるべきだという主張も聞かれます。
しかし、日本の教育支出を先進国並みにするとなると7兆円が必要となり、消費税3%分に相当してしまう。
だからこそ、国や予算にかけられらる限りあるお金をどう使うのかが重要である。
いい先生の条件は?
子ども自身にどうしようも無いような問題を解決できるポテンシャルを持つのは教員である。
ある子どもを、過去のその子と比較して昨日より今日、今日より明日と伸ばしてやれる先生こそが、「いい先生」なのである。
- 教員をご褒美で釣ることへのエビデンスはあまりない
- 教員研修に効果はない
- 元々の能力が高い人を採用すれば良い。教員免許制度を無くしてしまえば参入障壁が低くなり、優秀なひとが集まる。教員免許は必ずしも教員の質を担保できているわけではない。
教員研修係としては、なかなか胸が痛い内容でもありました。
採用時点で優秀な人、だよね〜。
いま、採用試験の倍率が低くて悩んでいる自治体も多いと聞きます。
まとめ
学力テストのデータなどがどんどん公開され、どうすればコスパよく子どもたちに明るい未来を手渡して行けるのか、しっかり考えて欲しいところです。
子ども手当も海外では意味がないというデータがあるのに実施するとか、もったいないですよね。
著者ご本人と駒崎弘樹さんとの対談もありますのでご興味ある方はぜひに!
今回記事を書くにあたってパラパラめくったら止まらなくなってしまったので、ぜひ本をご一読されることをオススメします。
ではまた☆