まなびと!

自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[見学]誰にでもわかりやすい授業を目指して。ユニバーサルデザインの授業研究校に見学へ。

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ユニバーサルデザインの授業を研究テーマにしている中学校に伺ってきました。

この本にもたくさんの実践を寄せている意欲的な中学校です。

昭和に建てられた団地に囲まれた、多摩丘陵のてっぺんにある、ものすごく見晴らしの良い学校でした。

見学に至るまで

夏休みに特別支援のレポートを発表し、

「実際に実践している学校に行ってみたい!」

と周囲に熱い想いを撒き散らしていたら(迷惑だな)、仲の良い同僚が

「日野の中学に勤めていたことがあるので、連絡とってみましょうか?」

と声をかけてくれてコーディネートしてくれました。

貴重な平日の代休、声をかけたら4名の仲間が集まりました。

持ち物:

 

  • 名刺
  • 手土産(すっかり忘れていた・・・次回も気をつけよ!)
  • きちんとした格好
  • あらかじめ考えておいた質問メモ
  • 明晰な頭脳(と、いつも会議のときに冗談で言う先輩がいます)

 

見学内容

校長先生から、沿革や、簡単にユニバーサルデザインの授業のあらましについて伺いました。

ユニバーサルデザインの授業を心がけても、それぞれ発達の抱える課題は異なるので、完全な個別化はムリ。すべての生徒にユニバーサルは難しいが、できる限りの工夫をさせて頂いている。」

確かに。でもやらないよりは全然まし。

見学したのは中3の数学と英語でした。

数学

教室にて、統計の授業を行っていました。

小規模校だからか、すごく落ち着いてる!先生が声を張り上げる必要がありません。

まず、電子黒板で課題の復習。

パワーポイントで今、どこをやっているのかが示されます。

黒板には小さなホワイトボードで「今時にやること」が示され、授業の構造を可視化しています。

前の黒板の横の掲示板には、掃除分担、避難経路、年間行事予定、月別予定、生活目標が貼られています。

廊下側の掲示板には、委員会、係、学年、学級便り、保健便りなどが貼られています。

後ろの黒板と掲示板には、時間割、今日明日の時間割と持ち物、詳しい予定、書初め、クラス目標が貼られていました。進路関係の書籍もあります。

ごちゃごちゃした情報は後ろに貼ることで、前には余計な情報を置かず、注意が他にそれないよう工夫されてあります。

togetter.com

(最近、この工夫で劇的に変化した児童の話がシェアされていましたが、教育の世界では実践している人が多いんだと思ってた。違うのか??)

授業プリントも見せていただきました。

たとえば解の公式なら、公式に入れる前にa=□、b=□・・・と、スモールステップを取り入れている、足し算、引き算はできるがまず<たす><ひく>と問題の意味を解説しているなど工夫がされていました。

英語

習熟度別で、2クラスに分けての授業。

空き教室がとても多いので、プロジェクター型電子黒板を置きっぱなしにできる教室を使っていました。いいな。

ここでも、「この授業で行うこと」が前に示されていました。

電子黒板で、関係代名詞を使った早口ことばを示していきます。

黒板にいちいち文章を書く必要が無く、行ごとに色を変えたりできるのでとっても効率がよさそうです。

プリントの課題ごとに色の違う紙を使っていたのがうらやましいです。

特別支援担当の先生からの説明

通級指導教室を少し見学した後、研究発表で使われたパワーポイントを見せていただきながらお話を伺いました。

小規模校ということもあり、1割の生徒が発達障害のグレーゾーンであるということ。

その中でも、いろいろな立場の保護者がいて、通級に通う子もいれば、診断をしない保護者もいる。

診断は受けないが、近所の大学で療育してもらっている子もいる。

高校に入るのは厳しいので、近所の○○学園に通うことになる生徒が多い。

生徒の困り感は、入学時にアンケートを書いてもらったり、小学校からの引継ぎで話を聞いている。

ただ、ここでも色眼鏡をかけて見ないで欲しいという親もいる。

中学も生徒指導で授業まで手が回らないという学校も多い中、普段心がけている小ネタを集めることはできるのでは?と始まり、実践集ができた。

たとえば、

  • 歴史の授業で、漢字に振り仮名を振る・・・漢字で学習につまずいてしまう子どもを取り込む。
  • 合唱で、輪になり手をつないでfは手を上げていく・・・強弱を可視化する。

取り組むことで、生徒に達成感、安心感を与えていく。

生徒、保護者へのアンケートは好評、集中力がついたと教員も感じている。

去年の研究発表では、

「なんでもかんでも丁寧に教えるでいいのか?もっと困難を乗り越えるような経験があってもよいのではないか?」

という意見があり、

ユニバーサルデザイン授業の中でも、逞しく育てる”

が今年の研究テーマに入った。

研修は校内で、少人数で対話型も取り入れている。

明星大学の小貫先生に、支援の必要な生徒への授業の工夫など講演していただき、スーパーバイズしていただいている。

見学を終えて

代休に足を運んだ甲斐がありました。

実際に見て、感じるって大切ですねーーー!!!

「逞しく・・・」については、

目が不自由な子に逞しくさせるよう、「段差つけましょう」なんて言わないよね?

それだけ見えない障害への風当たりは強いんだな~

ユニバーサルデザインの授業を全校で取り組めるのもすごい!

と思いましたが、電子機器の普及(電子黒板、無線LAN、生徒は電子辞書で計算してた)も中学でこんなに進んでいることにショック受けました。

我が校、電子黒板の購入をつい先日見送ったばかりです。。。 

「授業の構造を示す」など、やってみようかなと言ってくれた同僚もいて、心強いです。

(私はすでに取り組んでいます。好評、というか教員もゴールを再確認できて良いと思う)

コーディネートしてくれ、一緒に参加してくれた同僚、お忙しい時間を割いてくださった中学の先生方に感謝です!!!

この情報は、2012年に雑記ブログに載せたものが元になっています。2017年になっても自分の職場に変化がないことに驚愕してしまいました。

ではまた☆