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自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[書評]やりたいこと至上主義のワナ!ちくまプリマー新書「キャリア教育のウソ」

書評
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キャリアデザイン学部の先生が、キャリア教育のワナについて書かれた本。

なるほど!メモ

30代後半の4人のモデル

著者が大学で教え始めて今も連絡を取っている卒業生の状況。

2人はストレートに就職したが、起業して失敗、ブラック企業に勤めて体調を崩す。

結婚して離婚している人も。

2人は卒業後もフリーター状態だったのが、小学校でのボランティアをきっかけに小学校教諭の免許を取って教員になったり、在学中からIT関係の仕事を個人で請け負っていて、そのまま何人かで起業してなんとかなっている。

大学を卒業してそのまま正社員になり、一生その会社に勤められるような時代ではない。

卒業して就職しなくても何とかなっている生徒も多い。

確かに、周囲を見回して見てもストレーターが少ないです!

先生も講師経験が何年かある人も多いし、私も転職1回。

むしろ、生徒には一生同じ会社に務めることはあまりないことを教えておいた方がいいかも。

ストレーターを増やすのがキャリア教育?!

よく、就職ガイダンスで出てくるのが

「フリーターと正社員の生涯賃金一覧」

この生涯賃金を札束の模型で表している大学もあるとか。

しかし、フリーターは避ければ、努力すれば正社員になれるものではなく、構造的に生み出される仕組みになってしまっている。

こんなに今は予測不可能な世界であるのに、はたして正社員に向けた準備は可能なのだろうか?

私が教えている子どもたちも構造的にフリーターになることが大変多いのでホントよくわかる。

それでも正社員になってほしいと賃金一覧をだして…それでも善意のつもなのだけれど。

キャリアを日本語に訳すと?

学生と考える授業をしているが、なぜかしっくりこない。

なぜかというと、日本は標準的なモデルが存在したのでそもそもキャリアを考える必要がなかった。

いま、変化の激しい時代をどう乗り越えて行くのか必要性が出てきてはいるが、「職業や仕事への適応」だけがクローズアップされてしまっている感が否めない。

やりたいこと重視でいいの?

繰り返し聞かれる「将来何になりたいか?」

おかげで、高校生のなりたいものランキングは公務員以外教員、看護師などの専門職で溢れかえっている。

しかし、ほとんどの子どもたちはそういった職業につけないし、そもそも「仕事が明確」な仕事につくことが日本では稀。ジョブ型ではないので。

それなのに「やりたいこと」が求められるのは無理があるのではないか?

夢を追うことを中心としたキャリア教育をすすめた課題集中校では、3年生になり就職口が夢と合わず学校斡旋ルートに乗らない生徒も出てきてしまった。

あまりにやりたいことに偏りすぎず、「自分が働いて行く上でどんな価値観を大切にしたいのか?」人を支援したい、コツコツと物事を地道にやりたいなど軸がしっかりしていればOKではないか。

軸を持っていれば、特定の仕事につけなくても困ることにはならない。

就職実績をめぐる学校間競争

高校、大学では正社員モデルへの信仰が厚い。

高校、大学は、そうした信仰を利用し、少子化の中での生き残りをかけて、就職実績をめぐる学校間競争に奔走している。

正社員になるためにどうするかというセミナーはあるが、非正規雇用になったらどうすればいいのかと教示してくれるようなセミナーはない。

むしろ、現実に即した非正規雇用のためのキャリア支援を充実させたところで生徒確保の好材料になることはなく、むしろマイナスの効果になるだけである。

確かに保護者も、進路の円グラフを見て、フリーターが少ない学校を選ぶよね。。。

そこで、労働に関する知識を学んで非正規雇用になっても大丈夫…とはとても言えないけれど、構造的に非正規雇用になる仕組み。

人は誰しも一生に1度は非正規雇用になる時代と思う方が良さそう。

総合的にライフキャリアについて考えられる家庭科の出番かも!

高校の家庭総合学習指導要領には、「生涯の生活設計」という内容があり、家庭生活や職業生活のあり方について考えさせる項目がある。

キャリア教育というと、社会や総合が思い浮かぶが、過程かも非常に有益な教科であると考えられる。

ただ、そもそも人生の設計なんて時代的にもできるのか?

アメリカの大学の研究員によると、

「今年、小学校に入学した子どもの65%は、大学の卒業時、今は存在していない職業に就くことになるだろう」

と予測されています。

ただし、多くの学校ではキャリアプランを作る時間がない。

家庭科の授業の時間減らされてますんで…。

調理実習やるだけで1学期終わっちゃいますよ…。

教師の善意が生徒を傷つけてしまう分野なのかもしれないなぁ。

キャリアについては一生考え続けるものと捉え、困った時にどう調べたり助けを求めたらいいのかを扱う方が現実的でいいかもしれない。

キャリア教育の今と問題点が分かる、オススメの良本です♪

ではまた☆