まなびと!

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まなびと!

自らが学び続ける教師でありたい。振り返りの記録です。

[書評]普通と障害のはざまで生きづらさを抱える子どもを理解「発達障害 境界に立つ若者たち」

書評

見た目には普通なんだけれど、学校やバイト先で出会って「あれ?」と思うような子ども達。

そんな子ども達が通うA学院での授業や、卒業したその後の生徒達の姿を描いたのがこの本です。

本業はアーティストとは思えないくらい文章がイキイキとしていて、生徒への愛が感じられ、読んでいてとっても楽しい本でした。

A学院は、高校に入れない子ども達のためのサポート校。

もともと「オール3以下の子でも、丁寧に教えれば伸びる」という信念の塾で、「どうやら、どんなに丁寧にじっくり教えてもできない子がいる」と感じ、そういう子ども達のために開校したのが始まり。

最盛期には数百人の生徒が通っていたが、少子化により普通と障害のはざまに居るいわゆる「境界児」も普通高校に入れるようになり、通信制で高校卒業資格が得られる学校も増え、A学院は08年には閉校になりました。

A学院の閉校までの道のりと、最盛期に通っていて、現在は30歳前後の5人の元生徒へのインタビューで構成されています。

読んでみて、正直「他人事じゃない」

少子化により、私立高校でもなかなか生徒が集まらない学校も増えてきました。

うちの学校も、いつかこんな風に閉校を迎えるのでは?と思うことも。。。

でも、少子化で生徒の学力がアップするわけでもなく、二極化していることもあり、境界児や低学力の生徒のための学校はより必要とされていくんだろうな。

A学院のいいところは、少人数でゆったり教えられる時期があったところ。

うちは人数が多くて、施設設備も人員もパンク気味です。困った。。。

内容は以下の通り。(平凡社WEBサイトより)

■概要
たとえば、100÷2は簡単にできても、120÷2は間違えてしまう。
漢字の書き取りでは、何かが抜けてしまったり、
漢字が読めなかったりする。空気が読めない──。

一見、ごく普通の子だから、こうしたことができないと、
周囲からは「なぜ、できないの?」
「なまけているんじゃないの」と思われてしまい、
学校や職場に居づらくなってしまう。
障害手帳をもらいたくない、
でも、みんなと同じようにはできない・・・。

こうした《境界児》と呼ばれる子ども(若者)たちがいる。
家庭から学校へ、学校から社会へと、彼らが歳を重ねるごとに、
彼らの居場所がどんどん少なくなっていくのが現状だ。

発達障害》という障害は、どのような障害なのだろうか?
そして、それを持つ子どもたちは、
どんな困難を抱えているのだろうか?
18年にわたって、発達障害教育の現場に立ち続けてきた著者が、
彼らにインタビューを試みた。
信頼できる先生だから話せた、今のこと、未来のこと。

■目次
第一部
「はざまの子」のためのもうひとつの学校
──A学院という学校があった
1. はじめの終わり、終わりのはじまり
2. 子どもたちとのはじめての出会い
3. A学院で実践されたこと
4. A学院をのみこんだ時代の波
5. 規模縮小、そして閉校へ
6. 卒業生たちの来訪

第二部
第一章 見かけはごく普通なんだけど
──「LD傾向」を持つタケシ君の場合
第二章 わたしKYなのかも
──「アスペルガー症候群」を抱えるアイコさんの場合
第三章 「普通」と「障害」のはざまで
──「軽度知的発達障害」を抱えるナオコさんの場合
第四章 どうしても普通免許が取れない]
──「学習遅進」を抱えるフクちゃんの場合
第五章 読解力がないんだよね、わたし・・・
──「ディスレクシア難読症)」をかかえるユキエさんの場合
第六章 障害をまるまる「個性」と受け止めて
──「軽度知的発達障害」を抱えるテツヤ君の場合

昔(いつだよ)なら、簡単な四則演算ができなくても、ちょっと空気が読めなくても「しょうがないなぁ」と受け止められるような雰囲気の仕事があったり、居場所があったかもしれないけれど、現在はそういう子は非正規の仕事を転々としたり、仕事にすら就けないこともある。

現在ノーマライゼーションは進んだように見えて、「普通」「障害」と一目で分かる人にはやさしいかも知れないが、「境界」はそうではない。どちらにも寄る辺がないという厳しさ。

そういう子には「なんでこんなこともできないの」とは言わないでほしい、と著者のあとがきより。

私、すでに長男に「なんでこんなこともできないの」攻撃を食らわせて早2年くらい?

大いに反省です。

実際に、勤務先にもこのインタビューに出てくれたような生徒がたーーーーくさん居ます。

今回、この記事をリライトして、続編が出ていることを初めて知る…読まないと!!

著者のブログはこちら。

jinruinekokakeikaku2.blogspot.jp

とにかく子どもの発達に関わる方、必読です!

ではまた!

[書評]コスパよく教育の質を高めるにはどんな政策をとるべき?「「学力」の経済学」

書評

9月の初めに読み、皆さんにオススメしたかった本です。教育経済学者の中室牧子さんの著書。

とはいえ、ネットでもかなり絶賛されていて、たくさんの書評が出ているので皆さんもご存知かと思いながらも、ご紹介します。

「学力」の経済学。

教育とお金が絡むの、結構日本人は嫌いますよね…。

でも、少ない予算でどうすれば子どもの力を伸ばすことができるのか?

と、考えた答えが科学的な裏付けもなく、単なる思いつきレベルだったり、その人の経験から導き出されたことだったらどうしますか?

まあ、東大に子どもを入れたお母さんの個人的経験の本も売れているようですし。

じゃあ、教育学って何なんだという気もします。

私は教育学部卒では無いので分からないですけどね〜。

なるほど!メモ

コスパの面から教育を見る、ってなんで今まで考えつかなかったのだろう…。

エビデンスはありますか?

教育再生会議などでは、自分の個人的な経験から主観的な持論を展開している人が後を絶たない。

一方、財政政策や経済政策について文部科学大臣が主観的な発言をする場面はこれまで見られていない。

アメリカでは、そのような状態を2000年代初めには脱しています。

2001年に成立した「落ちこぼれ防止法」では、「科学的根拠に基づく」というフレーズが実に111回も用いられていた。

少人数学級は効果がある?

日本の小学校は40人か、35人かという人数で論じられているが、海外の少人数といえば20人以下が主流である。

では、少人数学級にすれば良いのかといえば、学力を向上させる因果関係はあるものの、他の政策と比較すると費用対効果は低いことも明らかになっている。

少人数学級は、貧困世帯の子どもには効果がとてもあったことが分かっている。

教育予算がOECDで最低とは言うが…

日本の教育予算は、15年間で20%以上減少している。

国際的にも低い水準にあるので、もっとお金をかけるべきだという主張も聞かれます。

しかし、日本の教育支出を先進国並みにするとなると7兆円が必要となり、消費税3%分に相当してしまう。

だからこそ、国や予算にかけられらる限りあるお金をどう使うのかが重要である。

いい先生の条件は?

子ども自身にどうしようも無いような問題を解決できるポテンシャルを持つのは教員である。

ある子どもを、過去のその子と比較して昨日より今日、今日より明日と伸ばしてやれる先生こそが、「いい先生」なのである。

  • 教員をご褒美で釣ることへのエビデンスはあまりない
  • 教員研修に効果はない
  • 元々の能力が高い人を採用すれば良い。教員免許制度を無くしてしまえば参入障壁が低くなり、優秀なひとが集まる。教員免許は必ずしも教員の質を担保できているわけではない。

教員研修係としては、なかなか胸が痛い内容でもありました。

採用時点で優秀な人、だよね〜。

いま、採用試験の倍率が低くて悩んでいる自治体も多いと聞きます。

まとめ

学力テストのデータなどがどんどん公開され、どうすればコスパよく子どもたちに明るい未来を手渡して行けるのか、しっかり考えて欲しいところです。

子ども手当も海外では意味がないというデータがあるのに実施するとか、もったいないですよね。

著者ご本人と駒崎弘樹さんとの対談もありますのでご興味ある方はぜひに!

www.sotokoto.net

今回記事を書くにあたってパラパラめくったら止まらなくなってしまったので、ぜひ本をご一読されることをオススメします。

ではまた☆

[書評]子ども達の性の悩みを、学校は受け止められるのか?保健室の社会学「エッチのまわりにあるもの」

書評

先日紹介した、おすすめの本 

manabito.hateblo.jp

の編者さんによる「保健室の社会学」。

定時制に勤めていた著者のテーマは「発達障害・性の問題」。

本校と同じく、教育が困難と思われる学校は問題が見えやすいんだろうなー。

さて、養護教諭(保健室の先生)の著者に生徒がいろいろと話しかけてきます。

でも、核心をついたような話をすぐにするわけではないので、投げかけに丁寧に手紙を書いて渡したり、時には自習時間をもらってゲリラ授業をしたりします。

アマゾンの紹介より

なやみおおき高校生。

そのなかでも、恋愛はおおきなウェイトをしめます。

「避妊はしっているけれど、妊娠してみたい。そしたら、それが運命の人!?」

「好きになったのは同性だった…」

「これって、熱烈恋愛? それともDV?」

保健室には、いつもいろんな相談がひしめきあいます。保健の先生は、はたして生徒たちとどんな解決方法をみつけていくのか。読者にむけて社会学的な解説も

ついています(LL(やさしく よめる)ページつき)。  

セクシュアリティジェンダーは私の大好物。

当事者の間での「誰が悪い」という犯人探しではなく、学校制度、社会の問題として、社会学の視点もたくさんお持ちなので読んでいて色々と考えさせられます。

私も似たような生徒と関わっています。

「なかなか親から手をかけてもらえず、さみしさでいっぱい。早く自分の家庭を作りたくてどんどん恋愛する。恋愛が主導権争いになって、その争い方が自分の親に似ていてぞっとする。こんなはずじゃなかったと、次は自分の子どもに期待する・・・」

恋愛や子どもに期待せず、自分で自分の道を切り開いて欲しい、ということばに共感。

生徒が直面している性の問題は?

数々の問題について改めて考えさせられるいい機会になりました。

例えば、

  • 同性愛・・・生徒が「自分は同性愛だ」と自覚していないことがある。学校側も「病気」扱いをする。
  • ニューカマーの女の子たち。男の子に比べて学歴をつけることを期待されていない。兄弟の面倒を見るために学校を去っていく女の子を賛美する男性教師。
  • デートDVの蔓延。加害者の立場で話を聞いてしまうと話したほうが責められる構図になってしまわないか?暴力の中で育った生徒が自分のことと切り離して授業の感想を書いてきた・・・
  • 性被害。「レイプ」の話を聞くのを避けようとする同僚がいる。セクハラも同様。
  • 家族から性暴力を受け、家庭すら居場所にならない子ども達がいる。
  • 男の子も性被害にあうことも多いが、相談できる窓口もなく、電話相談ではいたずらと言われてしまう。事例研究会ですらベテランの教育相談員に「気持ち悪い」と討論すらさせてもらえなかった。
  • 援助交際をする生徒達。いい、悪いではなくどうして起こるのだろう?という視点で考えてみたい。「援助交際は魂に悪い」本当にそうだろうか?なぜ、限定した高校生と言う期間だけ価値があるのか。高校生の性はタブーとなっている、高校生に特殊な意味を持たせてしまう学校文化、日本社会に問題はないのか?

学校側の対応がどうなの???と思う内容も多く、まだ生徒の人権に配慮できている学校は少ない(というより性について知識が乏しい)んですね。

差別は、知識がなくて無自覚だから行われるそうです。

知識として身につけておけば、「そこに差別がある」と自覚できます。

できれば性の問題は見たくもないし聞きたくもない、見ないでなかったことにしてしまいたいと思うことは多いです。

それでも、同じような考えを持ち、一人でも多く生徒と向き合おうという先生がいるのは心強いです!!!

感想メールしてみたらすぐお返事いただきました!

専門的な解説と、生徒が読みやすい「LLページつき」です。

今年の授業で紹介してみる予定!!!

もう、学校には入れてもらえるように手配しました。

ぜひ手にとって読んでみてください。

ではまた☆

[書評]若年層の貧困の連鎖が止まらない「ドキュメント高校中退」

書評

公立高校無償化前の本。

無償化になって、助かっている生徒やご家庭も多いのでしょうね。

私立学校はまだまだ似たような状況が続いているかもしれない。

主に埼玉の県立高校の事例を取り上げています。

教育格差が人生に多大な影響を及ぼすことがよく分かる本です。

著者は学校現場に20年ほどいらした方。

中退者へのインタビューを丁寧にまとめています。

なるほど!メモ

実際に高校を中退する生徒も身近にいますし、貧困を抱えている生徒もいる。

読んでいて辛くなる本でしたね…。

中退だと、まともな仕事につけない

中退者が口を揃えて言うことの一つ。

高校生の方が身分がしっかりしている。中退者でバイトにすらつけないことがある。

親が安全基地でないこと

「親に期待されていると思うか?」

という問いに対して、進学校と底辺校(新書の呼び名のまま)では全く逆の相関を示す。

底辺校の高校生は、親に期待されていないと感じている。

親が高校を出ていないケースも多い。

子どもの進路に無関心、金がかかるから早めに辞めてくれと言い放つことも。

制服を買うお金がないことも多いので、採寸の時に現金で支払ってもらう。

家庭でのDVがとにかく多く、家庭が子どもの安全基地になっていない。

進学校に比べ、持ち家率より借家率が上回る。支援金を受けている率も困難校の方が格段に高い。

高校生も遊ぶだけでもお金がかかる。お金がなければ友達も減っていき、孤立して行く。

学習障害、知的障害の生徒も

このルポでは、九九が出来ない、字が読めない生徒も出てくる。

高校の授業内容にはとても入れない。

発達障害の概念が普及してきたのはここ最近で、ケアされてない子どもたちが放置されてここまで来てしまっている。

中退率の計算方法に問題あり?

高校中退が問題にならないのはその中退率の低さ。

文科省の計算方法では毎年の退学者を学校全体の数で割るために1%台になっている。

しかし、退学者をその学年の入学者数で割ると8%にもなる。

また、転学者は退学者に含めないが、通信制高校を卒業する率はさらに低くなっており、転学者も含めたらさらに多くなると思われる。

ameblo.jp

高校の先生も苦しい

公立高校では底辺校を希望する人は少なく、異動したとしてもほんの数年で異動していくためにノウハウも積み上げられて行かない。

生徒をなるべく学校にとどめるために、生徒の事情を汲んでいくのか?

厳罰化してどんどんやる気がない生徒に退学してもらうか?

どちらかの選択肢しか残されておらず、厳罰化の方向に向かっている学校が多い。

上記のようなケースを読んでいて、私の周辺で見聞きすることとかなり近いので驚きました。

私立高校でも、

  • ご飯が1日1食、見かねた教員がたまにお弁当を作っている
  • カーディガンなど袖が破れてもそのまま着ている
  • 入学時からの授業料未納
  • 選択授業を選ぶ基準は費用がかからないかどうか

といった状況があります。

まとめ

怠けている。

努力が足りない。

と、生徒を非難することは簡単です。

生徒たちのような困難な境遇から教員になった人は少なく、生徒に共感出来ない人も多いかもしれません。

生徒の事情を理解できたとしても、クラスのほとんどが生活の土台がなく支援が必要な場合はすべての生徒にまで手が回りません。

教員だけでは受け止めきれないです。

そういった生徒が底辺校という場所に集められ、進学校を出たような生徒とは人生において二度と交わることがないことも子どもたちの孤立を深めているかもしれません。

高校中退をしても仕事が見つかる世の中であれば問題ないのでしょうが、貧困の連鎖の中に入ってしまっては仕事をして税金を納めるということが遠い夢になってしまいます。

高校入学よりももっとずっと前から子どもたちの生活の支援を行うことで、犯罪なども減ると思うのですがどうなんでしょうか。

私も、今の仕事場で生徒たちと出会う前は、今のような認識では全くなかったので人のこと言えませんが。。。

よかったら読んでみて下さい。

ではまた☆

[書評]あなたが成熟した教師かどうか判断できる「発達障害チェックシートできました」

書評

長男が幼いときに発達に心配があり、検査を受けてました。

結果を見て、どうしたらよいのか・・・と悩み、漁るようにして学習障害発達障害の本を買った時にポチッた一冊。

もっと詳しい内容を知りたい方はこちら。

>>『発達障害チェックシート できました』をやってみました 目次

仕事にも活かせそうと再度目を通してみたら、「目からウロコの連続」。

読んでいてときめきの動悸?!が止まらなかった~!!!

自分の「発達障害観」が一気に突き崩されました。

主な内容は、

1)生徒が自分のことをよく知り、長所が認識でき、教員が生徒のことを良く知り、ちょっとした支援が出来るシート(悪いところ探しではない)

2)シートを作るために執筆者達がたどった製作背景。

3)理論的背景の解説

の3部で構成されていて、特に3部が秀逸!でした。

この題名では全然その良さが伝わらない気がして残念。

本当にたくさんの教師、保護者に読んでもらいたい本。

【この本のいいところ】

なぜこの本をすすめるのか、ご紹介します。

高校生の養護教諭がチームで書いたところ

発達障害の本を読むと、大抵「早期発見が大事、小学校中学年で発見では遅すぎる」と書かれています。あったとしても二次障害関係が多いような。

では発見されず今まで来てしまった目の前の生徒達をどうしたらいいのか正直悩んでいました。

この本は、定時制高校に勤務する養護教諭が生徒を見つつ、話し合いながら親の会などにも協力してもらって作成したもの。

うちの高校でもあるある!と思うようなことが多く載っており、悩みは私だけではなかった・・・と、かなり安心しました。

理論的背景の解説が本当に秀逸!

アスペルガーの小学生の子を持つ友人からメールが来たという設定で「学校におけるこのような問題に保護者がどんな考えを持ち対応したらいいのか」ということを

読みやすく解説されています。

本当に養護教諭の方がここまで書かれたの?!と思っていたら、お子さんがアスペルガーで、10年近く「障害学」を学んで来られたそうです。

というか「障害学」初めて知りました。

巻末のオススメ本、全く読んだことのない本ばかりだったので、参考にしてみたいと思います。

以下、個人的な想い。

+++++

この本、本当に「学校の、あるある!!!」が詰まってました。

養護教諭の悩み、教員が発達障害の生徒に対してネガティブに接するところや、言動など・・・。

それくらい、指導上困難な生徒は教師にとって「大変なストレス」なのです。

小学校、中学校なら発達障害の子が混じっていても当たり前。

でも、高校の教員は、「うちは義務教育じゃないんだから、高校なんだから」という思いがある人は多いように感じます。

教員自体、「ほどほどに勉強ができて」「成績上位者が集まる高校生活しか経験していない」ので、学習や、社会性に困難を抱える生徒にどう対応したらよいのか分かりません。

入試でも、生徒の合否をめぐって、「ここは高校なのに、なぜ足し引き算でつまずく生徒を入れなければならないのか」という議論が毎年起こります。

中学校との推薦相談の際も、「この子は発達障害がある」と言われた時点で「うちには発達障害の子を受け入れられる準備が整っていないので難しい」と入ってもケアできない旨を伝えることも。

(それならと、隠して受験させ入ってくる生徒も数知れず・・・)

私立学校は上位校でなければ所詮「公立高校の滑り止め」。

不況の昨今、「クラスで私立学校第一志望は1人しかいない」ような状況。

経済的に厳しい子ども達が多く、安全圏の公立高校を皆が目指すために、成績下位者が必然的に押し出されて滑り止めの私立学校に入学してきます。

そのため、私立学校の二極化が進んでいるように感じます。

私立学校は競争力のあるブランドが無ければ、さまざまな課題を抱える生徒を受け止める役割を果たしていくことになります。

私も「困った生徒」の指導には困難さを抱え、目の前の生徒からできれば逃げたいと思っていました。恥ずかしい。

でも、この本は「困っている生徒」が数多くいると気づかせてくれました。(遅っ!)

文科省作成の児童生徒理解に関するチェックシートでは、教員からのネガティブなチェックのみが入ると言うことで、もっと生徒が自分の短所よりも長所を理解するために作成し始めたチェックシート。

>>群馬県 - 特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関するチェックリスト

本を購入すると、メールでデータがいただけるというのでブログの感想も添えてメールしたら、著者の方から早速連絡いただきました♪

さて、題名の通り、本を通じて「教員の成熟度がわかった」お話です。

この本の理論編は学校の対応に悩む友人からのメールに対応する形で書かれており、こんなエピソードがありました。

生徒に「きらい」と言われたら・・・

クメ先生は副担任です。そのクラスに発達障害の傾向があって、人間関係でトラブルを起こすことの多いメイくんがいます

日ごろから先生は彼に社会性を身につけさせようと、よく叱っています。

ある日クラス全員が揃っている教室の中でそのメイくんに「先生、きらい!」ときつい口調で言われました。

クメ先生は、その場で彼を廊下に連れ出し、大声で叱りました。もし、先生がクメ先生ならどうしますか?

これ、よくありそうなシチュエーションですよね。もちろん高校でもありますよ。

20人の教員に、

①その時の気持ち ②その場での対応 ③その真意

を聞き取ったそうです。

皆さんならどうしますか?よかったら考えてみてください。

その結果、回答者の気持ちが誰に向かっているのかで分類しました。

  • 自己着目(自分だったら・・・の気持ち、「ショック」「むかつく」)のうち、 

①育成群「怒りの指導」 自己の感情のストレートな表現「それで社会に通用すると思うか!」「怒鳴り返す」 

②不明確群「怒りと悲しみ」 自分の気持ちを表現することでアサーティブに。「そんな風に言われてショック」「傷つくなぁ」

  • 他者着目(クメ先生の気持ち、「一時的な感情では?」「熱い思いは分かるが・・・」) 

③不明確群「感情理解重視」生徒の言葉をまずは受け入れ、生徒とじっくり話し合う。答える前に、「学校での普段の様子は?」などと教育相談歴が長く、個人的にもカウンセリング歴が長い。 

④育成群「社会性育成重視」この出来事を多方面から考察する。先生の目的を確認し、先生の気持ちを考察する。養護教諭、長年の教育相談や生徒指導の経験者

もし皆さんのお子さんがこのような状況になったとしたら、どのタイプの先生に指導してもらいたいですか?

私は③、④です。本でもそのように書かれていました。

が、、、、、20人中一番多いのは①、しかも特別支援の先生も何人か。

③、④の対応を取ると言ったのは20人中6人しかいませんでした。

ちなみに・・・本当に、、、大変恥ずかしいのですが、私は10年前なら間違いなく①。今なら②です。

いや、本読んだ日から変わってますけど。ひえー。

私はこれを教員の成熟度と見ましたが、単なる違いと見る人もいるでしょう。

「①②」群と、「③④」群が理解しあうのは無理なのか?という結びがありました。

「①②」群と、「③④」群が理解しあうのは無理なのか?

このケースにおいて、「発達障害」という情報を考慮に入れて解答したのは養護教諭1名のみだったそうです。

特別支援学校に勤務する教員ですら、

発達障害ってことがこの事例に関係あるの?発達障害であろうとなかろうと、教えることは同じじゃない?」

と答えている。

しかし、発達障害の人は状況理解や表現方法が「一般的」でないからこそ、発達障害と認知される。

発達障害の生徒はいわば「異邦人」であり、その彼らに出会うことは「異文化接触」を経験することと同義なのではないか。

通常、人は自らの経験則によって他者に対峙している。

よほど意識的に「異文化の存在」を認知していない限り、自文化に存在する「文脈」で、他者の言動を推し量ろうとする。

それがトラブル発生の原因であることは多い。

よって、①②群は

「学校と言う文化に属する以上、発達障害であろうとなかろうとその文化を受け入れるべき」

と考え、③④群は

「生徒は多かれ少なかれ、異なる文化を生きており、発達障害もそのひとつに過ぎない」

と考えている。

それぞれが正論である以上、ぶつかれば論争になることは免れない。

その結果、どちらも「理解されなかった」という気持ちが大きくなり、「怒り」の感情だけが増幅される。

そうならないためには、「論争」「正論」という言葉のメタファー「戦争」という物語を進行させないために、「相談」するのも手。

お互いの思いを満たすような「知恵」を出し合う中では「戦い」という物語は生まれにくい。

上野千鶴子は、「かしこさ」を「他人に対する想像力」と定義した上で、「かしこくない人とかしこい人がケンカをするとどうなるか」という想定をし、「相手の立場を思いやって、それもわかる、と言っているほう」が、「相手を理解」せず、「情け容赦ない攻撃を仕掛けてくる方」に負けるのは当然であり、「かしこい人がケンカに勝つには、かしこくない相手に同じくらいかしこくなってもらうのを辛抱強く待つか、もしくは力で負けて理で勝つ」しかないとしている。

この場合、③④群が①②群に負ける結果になってしまう。だからこそ戦いの土俵に上がってはならない。

心配なお子さんを持つ方は、指導される先生が①②タイプか、③④タイプなのかよく見ておいたほうがいいかもしれませんね。

 この本、他にも頭を殴られたような箇所はたくさんあって、

障害とは、本質的なものではなく、社会が構成したもの

社会的な構造障害におかれている人が「障害者」となっている。

学校ではKYな生徒を「同化には統合で、異化には排除で応じる」となっている。

発達障害の生徒は「同化させる」ことが目的で、「平等に応じる」「特別扱いはよくない」と特別な配慮が無く放置されることが多い。

「特別な支援」と「特別扱い」の違いって・・・?

学校の先生から、「おかあさん、「特別扱い」は学校ではできないので、できることを目標にせず、できないところはあきらめて、無理の無いようにやって行きましょう」と言われた。

普段仲のいいおかあさんが、リレーで自分の子が発達障害の子どもと一緒に走ることに。「出してくれなくていいのに」と他のお母さんと話しているのが聞こえてきた。このおかあさんは本当に差別的な人なのか?

SSTの授業を見たら、KYな行動をする生徒を他の生徒が手助けするような授業となっており、手助けして、教員の進行にプラスになるような生徒しか評価されなかった。

「常識」のストーリーに乗れない子ども達は評価の対象外なのか、それでいいのか?

学校で大切なのは「勉強?人間関係?」この認識が教員と子どもでずれてしまうとどうなるのか?

まとめ

ちなみに、ダンナ(同業者)いわく、「オレはずっと③」だったそうです。

仕事を一緒にしていたので知ってました。

私、知れば知るほどこの仕事向いてないなぁ~。

と少々落ち込みつつ、定年直前に分かるよりはいいだろう、ということで学びを続けることにします。

↑このあたり、一つでも「気になる」テーマがあれば、ご一読をオススメしますよ!!!!!

ではまた☆

[書評]しんどい先生に、くすっと笑える1冊!「なぜかクラスがうまくいく教師のちょっとした習慣」

書評

毎日お疲れの先生たちに、元気が出る一冊。

読書メーターより。

教師のための自己啓発書。

  • わかっているつもりでも改めて言われるとそうだな!!と思えるようなトピックがたくさん。
  • 普段手のかからない普通の子に注目する
  • 一日10回子どもの名前を呼ぶ
  • 子どもを「できたかできないか」ではなく「伸びたか伸びないか」で判断し評価する

など。

プロ教師のための10箇条は必読です!

見開きであっという間に読めます。

イラスト笑える。何より元気が出る!!

しかし、教員が本を読まないからか、読みやすさ薄さ重視の教育書が最近やたら増えたね。

もう少しお値段が安いと嬉しい。

よくある学級経営ハウツー本に書かれている、

「○日に教室のシステムを定着!!失敗しない教員が生き残る!!!」

ごもっともだけど、あまりにプレッシャーに押しつぶされると苦しくなってしまう。

なるほど!メモ

ABC、Bの子に注目

A優秀な子、B普通の子、C手がかかる子

どうしてもA,Cに注目しがちだが、Bの子に注目し、声をかけていく。

A,Cの子が発表している間にも、

「聴いてくれる人たちがすごい!!」

と承認する。

全ての子とパイプをつなぐのが大切!

伸びたか、伸びてないか?

教員はどうしても「できたか、できてないか」一定の到達度を求めがち。

「ひいきではなく、先生は伸びたか、伸びてないかで判断をします」

その子のがんばりを評価。この視点大事!

○○法にとらわれず、目の前の子どもの持ち味を引き出そう

教育熱心な先生であればあるほど、○○法や××先生がこういっていた、こうせねばならないと方法にとらわれ、がんばってしまう。

そんなときは、目の前の子どもが見えなくなってしまっている。

子どものことをしっかり見て、考えよう!

プロ教師の10カ条

野本先生のブログに、この本の紹介がありました。

nonobu.way-nifty.com

私がこの本でとくに感心したのは、p26,p27の「プロ教師なら朝に必ずやること10箇条」でした。

これは笑いました。

私は、あの分からなくなった土曜日に20分間ぐらい「人生の本質は、繰り返しだ!」と叫んでいたそうなのです。

酔ってもいいこというなあと自ら感心したのですが、それがここに書いてあったと、これにも感心しました。

  △ △ △

すぐに俵原先生からもメールがきた。
 
 △ △ △

(「プロ教師なら朝に必ずやること10箇条」は、私もお気に入りのページです。

後、気に入っているのが、出てくる子どもの仮名がすべてUWFというプロレス団体のレスラー名になっているところです。笑)
  △ △ △

このページには次のような事が書かれてある。

 △ △ △
プロ教師なら朝に必ずやること10箇条

◇プロの教師になりたいなら,たとえ朝に弱くともこれだけは!

私は、毎朝1日も欠かさずに、以下の10箇条をおこなっている。

「自分は、プロの教師である」という確固たる信念なくしては、到底25年間も続けることはできなかったであろう。

ただ、以下に述べる10箇条をやり続けたことで、今の私があることは、明白なる事実である。

若い先生方も、鋼の精神力でクリアしていただきたい。

  1. 朝、自分一人で起きる。
  2. 布団から出る。
  3. 着替える。
  4. 朝ごはんを食べる。
  5. 歯磨きをする。
  6. トイレに行く。
  7. 靴を履いて出かける。
  8. 学校のある場所へ向かう。
  9. まちがえずに、学校に着く。
  10. 確実に自分の教室に行く。 

(とくに、難易度の高いのが1である。一人が難しければ、誰かに手伝ってもらってもよい)

◇なんじゃ、こりゃ!…と、つっこめたあなたは大丈夫 

はい、どうもすみません。

当たり前のことばかりですね。

でも、クラスがうまくいかなくなると、この当たり前のことができなくなるんですよね。

朝、起きられなかったり、食欲がなくなったり、学校に行くのが怖くなったりするわけです。

つまり「なんじゃ、こりゃ!」「当たり前じゃないか。」と、つっこめたり、これを見てププッと笑えるような余裕のある人なら、たとえ、今、クラスがうまくいってないな…と感じていても、大丈夫。

絶対にクラスはよくなります。

最後まで、この本におつきあいくだされば…。(笑)

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ここにはこの本の全体を流れる「俵原節」が遺憾なく発揮されている。 

決して俵原先生はふざけているわけではない。

私なら「人生の本質は繰り返しだ」と硬派に叫ぶところだが、俵原節ではこうなる。

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人生の本質は「繰り返し」である。 

これを知って、自分の中に思想化していくと人生は変わる。 

たとえば、私は食事のあとの食器洗いが好きである。(笑) 

家にいるときは、日に三度私が食器洗いをする。 

毎日同じ食器を繰り返し繰り返し洗い、拭き、食器棚へ片付ける。 

食事作りは好きだけど、最後の洗い物が嫌いだという人は多い。 

私は人が嫌いな、その洗い物が好きだ。 

創造的でもなんでもなく、とにかく「繰り返し」なのだ。 

でも、それなくしては私たち夫婦の一日は成り立たない。 

決しておもしろいことではないが、ぜんぜん苦にならない。

「繰り返し」が人生の本質だと理解しているからである。

確かに、気持ちが憂鬱になると、朝起きるのも辛くなる。

そして、朝起きられても、

「このまま、電車に飛び込んだら楽になるなぁ…」

なんて思ったりするんですよね。

私も経験者なのでよーーーーくわかります。

まとめ

友人の職場では、新人の先生から

「今、○○駅にいますがもう足が動きません・・・」

と朝連絡があり、結局お辞めになったとか。

お互いが助け合う職場ではなかったのかな?先生方は笑っていたそうです。

しかし、最近の教育書はホント薄いな~

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忙しい先生たちが読めるように工夫されているんだろうな。

でも、これでも同僚に勧めても、

「読む時間が無いから・・・」

と言われてしまう。

職場で薦めても、1.2人の人が興味を持ってくれて、読んでくれるくらい。

連日15時間勤務しているような人も多いから仕方ないかな。(私は平謝りで免除)

もう少しゆとりが欲しい。

ではまた☆

[便利]ホワイトボードミーティングのためのA3ホワイトボードを身近なもので手作り。

便利グッズ

昨日のホワイトボードミーティング講座で、どこのホワイトボードが安いか??という話になりました。

生徒にとって、発表のためにただの紙に字を書くのはなかなか勇気がいることのようです。

しかし、ホワイトボードなら何度でも書いて消せる。

この手軽さがホワイトボードミーティングの魅力なのです。

とにかく安いのはニトリだそうで、600×900mmが1100円で売っているそうです。

www.nitori-net.jp

私も、自宅と学校用にA3のホワイトボード買ってみました。

横にもなります。

    

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ホワイトボードを買うカネがない

しかし・・・教育現場はなかなかお金のないところでして・・・たくさん購入するのは大変・・・

と思っていたら、主催の方が「クリアファイルでA3ホワイトボード」を手作りされているのを発見しました。

他にも、白いボードにラップ状のものを貼るだけでホワイトボードになるようです。

私も、あまっているクリアファイルでホワイトボードを早速作ってみました。

【作り方】

①2枚のA4クリアファイルの底の部分を切り落とします。

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②A3の白い紙を開いたクリアファイルではさみます

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③周囲を製本テープや養生テープ、ガムテープなどで貼って閉じます。

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④完成です。裏も表も利用できますよ!

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製作には以下のリンクも参考にしました。

kzs-gtd.blogspot.jp

軽いし持ち運びも簡単でいい感じ♪

しかし、皆さん知恵を使って工夫されているんですね。

すぐ買えばいい!と思う自分に反省。

マーカーは手作りできないので・・・今度100円ショップ行って買ってきます・・・。

他にもホワイトボードになる、気になる商品が!

講座で使っていた、ライティングシートも気になる!買ってしまいそう。

スケッチブック風のnuボード。

少々お値段が張りますが、クリアファイルよりもオシャレで家でもすぐに使えそうです。

ペンも、補充式のものなどこだわろうと思えばこだわれますね!

ついつい、100均で買ってしまう。

そして、使いたいときにだいたいかすれてますよねホワイトボードマーカー。

マーフィーの法則だな…。

ホワイトボードミーティング上達のために、いろいろ試してみるのが楽しみです。

どんどん実践することをここに宣言しておきます!笑

ではまた☆